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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第一章 転生者(精霊)と生活
35/318

第35話 吸血鬼の『長老』

「その後、その場所は様々な吸血鬼によって使われ、彼らは安全な生活を取り戻したとさ――さて、これでわかったか? 俺達は『吸血鬼(ヴァンパイア)』の敵ではないという事が」


 長い話を終えた俺は、ローガに向かって問いかけた。

 あー、喉枯れそう。


「……あ、ああ、わかった……今から『長老』を呼んでくる」


 ローガはそう言うと、走ってどこかへ行った。

 俺は暇潰しに『精霊眼』で、この場所の精霊の量を見ていた。

 ……まあ、一言で言うと、すげー多いよ。ここ。

 やっぱ荒らされていない土地の精霊の量は凄いな。

 俺の庭も見習ってもらいたいな。


「――待たせた。案内をするからついて来てくれ」


 数分後、どこかからか帰ってきたローガはそう言うと、踵を返しとっとと歩いて行ってしまった。

 俺達は大人げないと思いながら、ローガについていった。


■■■■


其奴(そやつ)等が我々『吸血鬼(ヴァンパイア)』に伝わる『伝承』を知っていた者か?」


 ローガについて行くと、すぐ近くの家の前で止まった。

 そして、そこの家にいた老人の第一声がその言葉だった。


「ああ、そうだよ――キナガさん」


 どうやら、『伝承』を知っていたからここに呼ばれたらしい。

 まあ俺が『伝承』に出てくる人の一人ではありますけど。


 あ、どうでもいいけど、俺の先ほどの物語にでてきた貴族は、もうこの世にいない。

 というか、そもそもその貴族がいた国自体、この話の数年後に消滅してる。

 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏………自業自得が恥を知れ。


「………ふむ、ローガよ、外に出ておれ」

「何故だ? ここに俺がいてもいいだろ」

「これは長のお前にも聞かせることのできぬ事を話す場になる。だから、外におれ」

「………ったく。わかったよ」


 ローガは不機嫌そうに『長老』の家から出た。


「さて、話をしようか……『救世の勇者』殿」

「……俺は『救世の勇者』なんかじゃねぇよ。『ただの一般人』だ」

「フム、嘘ですな。『ただの一般人』が隠れ里(ここ)のことをしる事がございませんそ、何より、あなたの魔力の『色』は、とても珍しいですから見間違いはありませぬぞ」


 キナガと呼ばれた男はローガが出ていくと、俺の正体を言い当ててきた。

 ったく………勘のいいヤツは嫌いだ。


「はぁ……ああ、素直に認めよう。俺がお前等を助け、この場所を作った『救世の勇者』だよ」

「でしょうな。やはり、あなたは帰ってこられた」


 キナガは感動でもしたのか、少し声が大きくなっている。

 ……正直、うるさい。

 ハギも少々引いてるぞ。ただ表に出さないだけで。


「ここは俺の故郷でもなんでもねぇよ。お前等の場所だ」

「……そうですな。それは失礼……っと、どうぞ、お座りください」


 哀しそうな表情をするキナガは、椅子に座るよう俺達に促した。


「それで、今回はどのようなご用で?」


 椅子に座ると、キナガは俺に質問した。


「今回は、魔法陣の改造と『儀式』を行う」

「ほぅ、『儀式』そして『魔法陣の改造』ですか………それは、この少女のために?」


 キナガはハギを指差した。


「ああ、こいつはハギって名前だ。あと、もう16になるぞ。十分に淑女だ」


 頷きながら、俺はハギが少女と間違えらえて拗ねていたので、頭を少し撫でた。

 すると、たちまち機嫌がよくなった。


「おお、それは失礼……それにしても、仲がよさそうですなぁ」

「まあな」


 その後、謝罪を述べたキナガと少しだけ『儀式』等の事を話して、俺達は魔法陣の場所に行った。

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