第30話 さて、何をしようか
皮肉な言い争いだった朝食を食べ終えた俺は、今日は何をするか考える事にした。
…………でだ。
「そういえば、お前らは今日は何をするんだ?」
俺は朝食を食べ終わり、片付けをしているライアとのんびりしているハギにそんなことを言ってみた。
特に理由はない。
「ん~、何しようかな~」
「今日の家事は大体終わっていますので、特にありませんね」
二人共、特に予定はないらしい。
そして俺も予定はなかったりする。
「それじゃあハギ、魔法の鍛練でもやるか?」
「ん~………うん、そうする」
「ライア、書庫の魔導書全て持ってこい」
俺は鍛練の為にライアに書庫の魔導書全てを持ってこさせる事にした。
やるからには徹底的にやる。
さて、久しぶりに魔法を教えるなー。まだ出来るかね?
「……へ?」
「了解、少々お待ちください」
「よろしく」
俺の命令に、一礼をしてすぐに書庫の方へと行った。
「え? ってちょ、ちょっと待って!」
「ん? どうした?」
「どうした? じゃないよ! 一体どうゆう事? っていうか魔導書って………」
……どうやら、急に色々あって混乱しているようですね。
俺は一から説明する事にした。
「今日、お前には俺の知っている魔法全てを覚えさせる。OK?」
「全然OKじゃないよ! それに魔導書って、すごく貴重な物なんじゃないの?」
「全然大丈夫。俺が全て書いたやつだし、貴重品ではない」
魔導書は貴重品だ。
理由としては、世の中に魔導書を書ける人がいないのと、魔導書に使う紙自体を作成する事が出来ないからだ。
まあ、紙は造れるがな。
「え!? ケイが書いたってことは……」
「ああ、その魔法の真髄まで書いた。だから……な?」
「……うん、なんかごめん」
あまり知られていないが、高位の魔導書には魔法の『真髄(奥義)』ともいえることが書かれてある事があり、これを普通の人間が見ると、死亡してしまう事があるので、俺の作った魔導書は、売る事が出来なかった。
しかし、今のハギなら、何とかなるでしょう。
魔法の扱いにも長けてきたし。
「それにしてもその……大丈夫なの? 私がそんなの読んで」
ハギは困惑しながらも、少しワクワクしているような顔している。
まあ、魔導書なんて生きているうちに一回みれただけでもラッキーだしな。
「ああ、今のハギだったら、読みすぎなければ問題ない」
「え? ……それって、読みすぎたらヤバいってこと?」
あ、ハギの顔が少し青ざめている。
……少し、脅かしすぎたか。
「ゴメンゴメン、俺がいりゃあ問題はねえよ。倒れたらすぐ助けるし」
俺は少し苦笑しながら、からかった事を謝る。
「え? それって……あ!」
そこで、からかわれている事に気づいたハギは少し頬を膨らませていた。
「あははは、本当にゴメン。反省はしている」
「むー、冗談にも程があるよ~」
「……お待たせいたしました」
そんな事をしていると、ライアが全ての魔導書を持って、現れた。
ハギもその量に驚いている。
全部で――まあ100冊以上あるからな。
さあ、久しぶりにがんばりますか!