第3話 戦闘という名の奇襲と盗賊討伐
薄暗い洞窟の中は一本道になっており、迷うことなく彼らを追うことが出来た。
俺は自身の精霊としての能力『身体変化』を使い、俺自身の身体を超小型して、彼らの後を追う。
一寸法師ってこんな視点なんだなって知った。
全てが大きく見える。
ちなみに俺の現在の身体は魔力でできているので、姿形を簡単に変えられる。
てか実体ないから幽霊じゃん。あ、『精霊』って『霊』ついてるな………あれ? 俺幽霊なら普通は見えないんじゃね? まあいっか。
洞窟の奥には分かれ道があるらしく、右から倉庫、ボスの間、その他の盗賊達の寝室となっており、倉庫では近くの村の者と考えられる人達が、檻に入っていた。
全く、酷い奴等だ。洞窟内って結構寒いんだぜ? ここ風通しいいしさぁ………それなのに薄い服一枚だと?
──よし、ちょっくら盗賊共を倒しますか。
俺は討伐を決意し、まずは『ボスの間』へ向かった。
………ちなみに、この『ボスの間』とかの名前は俺がそうに呼んでいるだけで、本当の名前は知らん。
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『ボスの間』は意外と広かった。
しかし、金銀財宝が散らばっており、綺麗な部屋とは言えない。
ちなみにボスは気持ち良さそうに眠っている。
まさか自分が今から戦闘不能になるとは思ってもいないだろう。
いや、もしかしたら「ココはバレない」とでも思っているのか。
俺はボスと呼ばれている男のステータスを『視』てみた。
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名前:レント
Lv52
種族:人間
ステータス
生命力:B
魔力 :E-
力 :A
知力 :E-
敏感力:B
スキル
近接武器適性:斧Lv5
狂人化Lv3
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フム……まあ、この身体 (?)での初戦闘 (?)の相手にはなるか。
レベルに差があるのに、あっちの方がレベル上なのに………俺のほうがステータス高い…………これが転生特典だってさ。
こっそりと近づき………そもそも幽霊だからこっそりも何もなくね?
それはさておき敵は寝ている。だったらチャンスだな。
俺は用意していた石の鋭利なナイフで首もとを切る。
一応【錬成魔法】と【付与魔法】で切れ味の底上げをした物だから確実………とまではいかなくても、何個か刺せば確実に仕留める事ができただろう。
まあそれがなくても複数個複数回刺しますがね? だって怖いし。
最後に首を斬って………よし。ボス討伐 (?)も終わった。
…………つかすげぇな、このナイフ。普通に切れたよ。
それとも『叡智』スキルのおかげか? なんかいつもより簡単に魔法使えたし、精度というか、効率? が上がってるような………?
まあ、ボスは片付けられた。
検証は後だ後。村人? 達を助けんといけんよな。
まあ後は雑魚だけなので『精霊眼』を使い、盗賊の寝室に向けて闇属性の魔法『ベノムサークル』を使う。
………使った俺が言うのもあれだけど、やっぱ闇属性はえげつないわー。
数分後、地味にえげつない魔法で賊を討伐した俺は、倉庫で捕まっている者 (薬で眠らされいるらしい)達をアジトの外に出し、『結界』を作ってそいつ等の安全を確認した後、少し財宝をあさっていた。
今は特に、武器が欲しい。
実は作戦 (?)当初『魔力変換』を使って武器を作ろうとしたのだが『使用出来ません』とか言われた。
それもその声が脳内を響くからうるさかった。
それに俺が作った石のナイフも耐久力がないので、武器を見つけられないのなら、どっさりと作らなければいけない。
……だがしかし、これといって良いものがない。
「(…石のナイフを量産か)」
沢山作れば魔力を使わない遠距離武器になる。
俺は、彼らが目覚めるまでの暇潰しを始めた。