表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第一章 転生者(精霊)と生活
29/318

第29話 入学まで、あと6日

 朝、俺はいつも通りの時間に目が覚めた。

 もともと、朝は早いほうなので、何も無い日はこれくらいが普通だ。

 まあ、この時間帯に起きれば、学園に通う時も登校時刻に間に合うので良いのだが……。

 そんな事を考えながら、俺はリビングへ向かう。

 最近はライアが料理を作るので、朝もこんな時間におきなくても大丈夫なのだが、いつもこの時間帯に起きてしまう。

 ……もしかして、昨日はあまり疲れていなかったのか?

 あり得そうな話である。昨日は書庫で少々寝て (?)いたし、その後すぐに寝たからなぁ。


 そんな事を考えながら、俺はリビングの扉を開けた。


「おはよう、いつもお疲れ様」

『おはようございます、(マスター)。少々お待ちください、もう少しで準備が終わりますので』


 そう言いながら、ライアは朝食の準備を黙々とこなしていく。

 そういえば、ハギの姿を今日はまだ見ていない。


「ハギはまだ寝ているのか?」

「ええ、まだ寝ていますよ。それがどうか致しましたか?」


 ライアの言葉に俺は苦笑しながら言う。


「いや、昨日は悪い事をしたと思ってな」


 昨日は書庫で寝落ちしてしまったので、ハギとは話もしていないしなぁ。

 …………罪悪感は俺にも有るからな? 決して人でなしではない。


「そうですか……しかし、ハギは気にしていないと思いますよ」

「そりゃあ他人の前では平気を装うだろ、アイツは昔からそうだったし」


 アイツとは前世からの仲だからな。

 記憶を大体思い出したからだいたいの心情を察することも出来るようになったわ。


「そうですか……」

「ああ、そう言う奴だ」


 まあ、昨日のうちにハギ関連の記憶については、女神に解放してもらっておいたので言える事だがな。

 そのお陰でどこでハギと会ったか思い出せたのはいい収穫だった。


「へぇ~」

「ん? 何か疑問でも?」

「いえ、何でもありません」


 ライアの不自然な返しに、少し疑惑を持ちながらも俺は解放した記憶について思い浮かべるのだった。



「おはよ~」


 数分後、眠そうな顔をしながらハギがリビングに入ってきた。


「おはよう、今日は遅かったな」


 ハギは俺の声を聞くと、ビクン! と少し驚きながら、こっちを見る。

 いや、なんだよ。俺が何かしたか? ……ああ、したか。俺の存在が害悪か――って、何自己完結の自己嫌悪してんだよ俺。


「お、おはよ~」


 ………何か嫌そうに挨拶を返された。

 そんなに嫌か? 俺の顔見るの。それとも「気持ち悪い」って言外に伝えてます? 事実は時に他人を傷つけるんだぞ?


「おはようございます。これから朝食ですので少々お待ちください」

「うん、いつもありがと」

「ありがとうございます……どうやらお二人は似た者同士らしいですね。まさか今日中にハギにも言われるだなんて思ってもいませんでした」


 ライアは微笑みながら、少しだけ俺たちの事をからかう。

 うん、何か悔しい。主にライアに弄られるのがたまらなく。

 それに、感謝する事の何がいけんのだ? タイミング?

 ……何か過去の事掘り返してやるか。


「え!? ケイも同じような事言ってたの? ………何か意外」

「悪かったな意外で……そういえば、ライアも昔より表現豊かになったよなぁ」


 そう俺が呟くと、少しだけライアの頬がひきつっている。

 …何か楽しくなってきた。


「え? そうなの?」

「ああ、そうだぞ。なんたってライアは昔――っと、あぶねぇ」


 俺はライアの『過去の姿』を知らないハギに少しからかいついでに説明しようとしたところで、突然、ナイフが俺の顔面目掛けて飛んできた。

 いやぁ、危ないねぇまったく。等と思っていると、ライアがこっちをみていた。

 ……殺気がこもった目で。


「ああ、誠に申し訳御座いません。手が滑りました――その話は止めてください………不愉快ですので」


 そう言うと、ライアは朝食の準備に戻る。

 昔はあれの数倍ひどかったからなぁ。


「な、なんか……ケイも色々大変だね……お姉ちゃんもだけど」


 ハギからの同情の視線がある意味辛いです。どうにかなりませんか? あ、ライアの奴笑っていやがる。わかってやったな? いいけどさ。


「まあ、昔からだし気にする気もねえよ」


 もうこのやり取りも何回もやっているしな。

 ……昔のやり取りはもっとひどかったけど。


 数分後、朝食を皆で食べながらも、俺とライアの皮肉な言い合いが有ったとか無かったとか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ