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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第284話 第二学年三学期23

「啓が卒業したって本当か!?」


 卒業式を終えて自宅でハギとのんびりしていると、突然応接間の扉が開かれて拓哉が入って来た。


「おー、送辞お疲れ」

「おう。やったぜ……じゃねぇから。お前の卒業ってどうしてだよ」


 少し息を切らしている拓哉を落ち着かせた後、ハギにしたのと同じような説明をする。

 一通りの説明を終えると、拓哉は出された茶を一気に飲んで言う。


「つまり飛び級で高校卒業、と」

「そういうこった」

「タクヤさん、それで納得しちゃっていいの?」

「まあ、あんまり納得はしてないけど……啓だからなぁ」


 なんだその理由。てかハギも横でその言葉に納得すんな。説明した意味が薄れる気がするから。


「じゃあもう、学校には来ないのか?」

「関係者じゃないからなぁ……基本家からも出れなくなるだろうし」

「ああ……そういやそうか」


 俺が乗っている車椅子を指しながら言うと、どこか悲し気に拓哉が俯いた。

 ……冗談のつもりだったんでそう言う顔されるとマジ困るなぁ。


「まあ見舞とでも称していつでもこい。ライアが菓子でも焼いて待ってるぞ」

「私の仕事を増やそうとしないでください」


 拓哉にお茶のお代わりを注いでいたライアが言う。

 まあ今でも十二分に働いてもらってるからなぁ……これから更に増えるし。

 申し訳なさが際限なく込み上げて来るから考えるの止めよ。


「それにしてもよぉ、いつの間に卒業試験なんて受けてたんだ?」

「お前たちが授業受けてる間にちょちょいとやって来た」

「あー、そういやいなかった時期あるもんな」

「けど期末テストは受けてたよね」

「先生から『最後の記念にやっとけ』ってな。赤点になっても卒業が取り消されることはないって話だったから受けた」

「「うわー、いいなぁ」」


 いいのか……卒業確定後まで勉強するの。いや、コイツらが言ってるの赤点免除の方か。


「ちなみに最後は何位だったんだ?」

「座学が合計596点で実技が0点。総合順位は覚えとらん」

「中間くらいか」

「というかほぼ百点なんだね……」

「きちんと勉強したからな」


 それでも全教科満点じゃないのは悔しかった。それが凡ミスだから尚更な。

 ……そういえば。


「テストの順位といえば、ハギはまた2位だったな」

「……いやぁ、相手が悪かったといいますか」

「ハギさん、確か歴史が悪かったんだっけか」

「……」


 ハギが居心地悪そうに押し黙る。

 今回の成績、知ってる限りではハギは歴史を除く5教科で学年2位だった。しかし拓哉が言う通り歴史の点数が悪く、今回はそれで1位の座を取られたのだとか……俺とハギの前に座る男に。


「だって仕方ないじゃん。ケイが悪者のように書かれてるし」

「その思いは嬉しいが、ヒトの歴史の一般的な解釈とは正反対だから自分の内にしまっとけ。あと他の部分でも結構落としてたな」

「ぐ、見せなければよかった……でもヤマが外れただけだし」

「その勉強法は止めた方がいいぞ。てか歴史はあんまり勉強してなかったよな」

「それは他の方が難しいからに他ならないね」

「ほいほい。じゃあもっと頑張って勉強しような」

「……はーい」


 ガキか……いや十二分にまだ子供か。

 拗ねた様子で返事をしたハギの頭をひと撫でする。頑張ってはいたしな。少し言い過ぎたかもしれない。


「頑張ったら何でも言うこと聞いてやるから」

「あ、凄いやる気でて来た」

「単純か」


 それでいいのか……自分で言っといてなんだけど、出来ること少ないからな?


「ハギさんの扱い心得てるな……」

「俺だから出来る方法だけどな」

「惚れた方が負けってやつか」


 さあてね。拓哉の台詞に少し笑いそうになりながら、俺は茶を飲む。

 ……負けかもな。


「さて、もう昼も過ぎてるけど……拓哉は帰らなくて大丈夫なのか?」

「あー……ヤバいかも」


 急いでたから露と日由を置いて走ったからな。と後頭部をかきながら拓哉は呟いた。

 いつも一緒にいると思ったら……あいつら拓哉のお目付け役か?


「じゃ、嫁さんに怒られる前に帰れ」

「だな。とっとと帰って土下座するわ」


 そこまで怒ってはないだろ……とは拓哉の真剣な表情を見ていたら口には出来なかった。取り敢えず、心の中で合掌。南無。


「あ、そうだ。啓、卒業おめでとな」


 去り際、拓哉は振り返ってそう言った。


「おう。拓哉も進級おめでとう。後一年頑張れよ」

「おうとも!」


 まあ拓哉なら心配はないだろうが……あ、嫁さんとのアレがあるか。マジ頑張れ。

 いい返事をして帰っていった拓哉の背中を見送り、少し拗ねた様子でこちらを睨みつけてくるハギに視線を向けた。


「ハギも進級おめでとう」

「……頑張れはないの?」

「頑張ったらご褒美をあげよう」

「どんな?」

「それは頑張ったらのお楽しみってことで」


 何も考えてないからな。

 それでも満足なのか。ハギは良い笑顔で頷いた。

 これにて啓の学園生活は終わりです。学園編が終わりとは言ってない。

 これから自分の首を絞めるかのように新キャラクター登場させる予定もあったりするので (既存キャラクターを扱う場面もありますが)、次回以降の更新を私は富士の樹海に単身突撃する、と表現します……といっても数話春休みに使うので新キャラはまだ先ですけどね。

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