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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第283話 第二学年三学期21

 魔王の娘を探すために、まず奴隷商を襲った。

 まあ奴隷解放なんて崇高な精神はなかったから壊滅まではさせなかったが……責任だって出るからな。

 それを幾度か繰り返し、どうにか魔王の娘の所在を知り得ることが出来た。

 朱璃──ああ、これは後に俺がつけた魔王の娘の偽名なんだけどな──と会ったのは王国の地下で行われていた奴隷売買の会場だった。俺はそこで自腹を叩いて魔王の娘を購入。まあヒトにゃあ魔王の娘とはわかられてなかったから結構安値で買えたのは御の字だった。

 けどその後が大変だった。あ、別段信頼関係を築くのが大変だったわけじゃないぞ。もとより信用なんて出来ないだろうしな。だからさっさと奴隷紋消して食事を与えて帰そうとしたんだが、食事を与えただけで泣かれるわ名前つけろとせがまれるわで出る前から大変だった。


■■■■


「──で、付けた名前が朱璃なのか」

「目が真っ赤なのが特徴的でなぁ……」


 懐かしい……のはいいがハギよ、抓るな。地味に痛い。

 しかしまあ自分の身の上なんて勝手に話されて楽しい訳がないだろう……その癖、お前が話すか? と聞くと目をそらすし。


「でもどうして啓は奴隷紋消せたんだ? あれ、解呪とかはできなかったよな」

「《解印》なんぞ片手間で出来るくらいにゃ全盛期だった」

「スゲースキル持ってたオチ……」


 まあ色々やってたからなぁ……年季も違うし余裕のよっちゃん。ちなみに回復魔法で治すことも出来たりする。魔力メチャクチャ使うから非推奨な裏技だけど。


「とにかく、信用なんて端から期待してなかったんだが、自然と築けてしまった」

「まあ端から見ればただのマッチポンプじみた所業だもんな」

「ヒト側の勇者だしな。まあだからこそ最低限の妨害で魔王城に戻れたんだが……」

「え、妨害なんてあったの?」


 ここで突然ハギからそんな台詞が飛んできた。まあ悟らせないようにやってたしなぁ。


「別に盗賊風に装った貴族の私兵が襲ってきそうになってただけかなぁ」

「それ普通に事案じゃね?」

「知らね」

「お前のことなんだよな?」


 普通に雑魚だし気に掛ける必要もないくらいの有象無象だったし……あと寝返ることは確定してたしなぁ全員切り殺したことに罪悪感も何も浮かばなかった。

 それに酷かったんだよなぁ……演技の下手さ。


「障害物置かれたって飛び越えりゃいいだろ? それくらいの妨害だったんだと」

「言い方が語り部になってるじゃねぇか。お前のことなんだよな?」

「そんくらい古い記憶なんですー」

「やめろその言い方。鳥肌立つ」

「へーへー。じゃあ続き話すぞー」

「突然だな!?」


■■■■


 旅は──特に多忙を極めなかった。

 魔物は本能的に近寄ってこないしヒトにはバレないよう元々単独行動してたから邪魔も入らない。とてもスムーズに魔王城まで行けた。

 ただ何日も野宿になると大変だったな。魔族領に入ると特に。寒いからって理由付けてくっついてくんの。あの時は転移魔法を封じた魔王を恨みたいが……まあいい。

 大変なのはそこからだった。

 朱璃を返してさあ停戦しようやって矢先、あちらさんは俺と朱璃で婚姻を結ぶことを提案してきた。

 正気かって思うよな。俺は思ったが……え、思わない。まあいいや。

 俺は断った。すると停戦交渉の条件として俺と朱璃の結婚を条件にしてきた。これがまた筋の通った条件でな。人類の希望である勇者と魔族の姫君の友好の印の結婚……そう言われたら断るなんて不可能に近い。

 それで交渉は成された。俺と朱璃は早速、結婚の儀式を行った。これは魔族の中でも一部の限られた奴らしか行わない儀式だが……まあ気になるなら勝手に調べろ。これを魔王直々に執り行われたんで早急に終わり、俺は停戦協定を結んだことを喧伝しながら王都に戻った。

 まあ貴族は怒るな。王都に入った矢先『裏切者』とか言われて非難されたし道中で魔族から、人族領じゃヒトからも石投げられるは罵詈雑言を受けるわで結構最悪だったがまあとにかく暴力で黙らせて王に謁見。呪いまで使って無理やりに協定内容を飲ませた。


■■■■


「──以上が『裏切者の勇者』の誕生話」

「やり方が結構酷いな」

「聞く耳を持たないからしょうがないね。俺は悪くない」

「いや、お前もだけどヒトも」

「国民も責められる立場じゃないんだけどなぁ」

「あー、まあ色々あるだろうしな。それで?」


 適当に流した拓哉は更に続きを促す。


「これで終わり」

「いや、そっちじゃなくてハギさ――じゃなくて朱璃さんとの新婚生活のほうはどうなったんだ?」

「わかってるならハギでいいぞ」


 まあバレるよなぁ……ふとハギのほうへと視線を向けると何故か不貞腐れてた。バレてるってわかって隠す気もなくなったな。もとより隠してはなかったようにも思うけど。


「……なんか全然私の聞いてないことばかりなんだけど」

「そりゃお姫様の耳に入れていいような話じゃないからな」

「馬鹿にされてる気がする」

「してねぇっての。事実を言ったまでだ」


 てか話の続きか……。


「勉強は?」

「後でも出来るだろ。てか興味湧いたし問題なし」

「じゃあまあ歴史・地理は大丈夫だな」

「おう」

「それでいいんだ……」


 興味を持てばすぐに覚えるからなコイツ……情報の取捨選択が極端なんだよ。


「さて、じゃあ新婚の話だけど……ハギ、話すか」

「え、普通にヤだ」

「じゃあ勉強再開な」

「えー」

「えー。じゃねぇよ。俺だって恥ずかしくて話したくないんだよ。ほら、やらないなら帰って嫁さんとイチャコラしてろ」

「……しゃあねぇな」


 拓哉は勉強を再開する。

 今度は大丈夫そうだ……と一段落したところで、再びハギがこちらを向いた。


「そういえば、お姫様って今でも有効なの?」

「……」


 ノーコメントで。

 恥ずかしくなって、逃げるように逸らした視界の端で、ハギは少しだけ口角を吊り上げたのが見えた。

 遅れまして誠に申し訳ありませんでした。

 そんな馬鹿がカクヨムで短編書いたので暇なら読んでくだせぇ。

タイトル:幼馴染みが「オタクってキモいの?」と聞いてきたので少し一緒に考えてみた

URL↓

https://kakuyomu.jp/works/16816700426844882734

 ただの雑談小説。結論も出ないよ!(ネタバレしてくスタイル)

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