第221話 第二学年一学期 魔術大会18
──精霊。
それは万物に宿る可能性のある九十九神のようなモノ。そう表現するのが正しいのかはわからないが、長年使われてきた物品、長年思われてきた概念が『意思』を持つことで生じる生命体。
俺はそれを自由に創り出す権能を有している。その権能の名前は『精霊創生』。使い方は至極単純で、ただただ精霊を創り出すだけの権能である。そして創り出す副産物と言うべきか──
「──ハギよ。俺はな、精霊を操れるようになったんだよ」
「はい?」
ちょっと何言ってるかわからない。と言った様子のハギの横で、俺はただ一回だけ、パンっと手を叩く。
たったそれだけで生徒会長の『王の城塞』とやらは砂となり崩れ去り、副会長の『神雷』とやらの雨もパタリと途絶える。属性魔力を精霊に食わせるとこうなるは知ってたが……どうやら魔法を強制的に中断させることも出来るらしい。
「「「は………?」」」
突然の出来事であったためか、生徒会長も副会長もハギも驚いて………っと、ハギまで驚いてるのな。ちょっと意外だな。
「さて、土と雷は完封な。じゃあ行くぜ? 発火」
「は? ちょ──」
待たねぇよ? 特に生徒会長。何度も魔法使おうと苦心してたようだけど………まあ一帯の土の精霊と雷の精霊は鎮静化してるから無駄だぞ? 口には出さないが。
言葉と共に、生徒会長達の周囲で幾度と小爆発を起こす。
「え? あ、私も使えない」
「試すなっての………」
目眩ましをしている最中、ハギはハギで土属性が使えるかを検討していた。まあ使えないが………いや、本気で魔力込めれば使えるかもな? 初級の土魔法が。
「ほれやるぞ」
「はーい。それじゃあ風かなー」
「無難だな」
雷も封じちゃったし、最小の被害で最大の成果を挙げるのは風属性のみだ。キチンとわかっているようで安心。
とはいえ、考えは相手方も同じようだ。
「うわー副会長の風弾の数えげつな………」
「魔力の細かい操作が本当得意なんだろうな………」
まあ、長期戦ならこっちに分があるのだが。俺は魔力を使わないしハギは魔力量にモノを言わせた戦い方もできるし………まあ負ける可能性もあるけどな?
気を抜けないのは相手もこちらも同様………真剣さには負けるが負けられない理由もあるからなぁ。
「行くぞハギ! 全ては帰宅部の為!」
「………なんか今、ケイがタクヤさんと仲いい理由がわかった気がする」
うるせ。テンションは上げとかないと昔からやってられなかったんだよ。まあ今はそんなの必要ないくらいに楽しいけどな。
そんな思考の最中も風弾の弾幕が衝突する。見てる分にはこれ、つまらんだろうなぁ………魅せる戦いはしないけど。
「ぐぅ………」
「この物量をまだぶつけてくるか!?」
「お、余裕そ………隙あり!」
まず集中力の途切れた副会長から倒した。そしてそこからは早かった。ハギの一撃が会長に当たり、試合は終了した。タッグ戦優勝………んー、後々楽できるって実感あるなぁ。
「じゃあケイ、さっきの教えてよ?」
どゆことなの? といった様子のハギに、俺は面倒に思いながらも説明するために、休憩に入りかけた脳を無理やり動かし、わかりやすい言葉を探しはじめた。
本当すいませんでした遅れたのは執筆遅かったせいです。
……こんな謝罪を昨日もした記憶があるのは気のせいじゃないんですよね。更新です。
とりあえず次回は視点を変えます。誰だかは……最近ツッコミ役のツッコミ役になってる方、がヒントですかね。