第220話 第二学年一学期 魔術大会17
「『神雷』」
「『王の城塞』」
生徒会コンビは、天候を、地形をも操り、フィールドを変えていく。
「ほー、こりゃすげ」
「興味なさそ」
興味ねぇもん。前世──約100年前くらいか? それくらいの時期なら、こんくらいの魔法、普通に使われてたからなぁ………。
それに──
「魔道具使ってこれだからな……ルールは知らんけど、まあ残念だよな」
「え、魔道具使ってるの?」
ハギは気づかなかったのか………まあ流石に気付き難いっちゃ気付き難いし仕方ないか。
しかしハギはじっと目を凝らし「あ、イヤリングが魔道具?」と聞いてくる。
「正解。さて、まずは雷を受け流すぞ」
「はーい」
俺は五芒星を描き、ハギは片手剣の刀身を闇色に染め避雷針代わりにして、放たれる雷を対処する。
うーん。もう少し練れば悪くないが………。
「まず魔力増やす所からだなぁ」
「とりあえずあの城塞壊しませんかね?」
「だなぁ………っ」
俺は力を籠めて剣を横に薙ぐ。
「あ………」
「まあ、こうなるよなぁ………」
パキリと嫌な音をたてたと思った次の瞬間には、剣はバラバラに砕け散った。あんな使い方すりゃあ当然っちゃ当然だな。しかし城塞擬きは壊せたんだ。後は拳でも使って──っと。
「やべ。奉納剣舞が出来なくなった」
「えぇ……あ、剣なら私もタクヤさんみたいに再構成? させてみたい」
唖然とする生徒会を尻目に、ハギはそんなことを言う。台詞が戦闘中のそれじゃないのだが………まあ俺にデメリットは皆無だし? 成功すれば御の字くらいの心意気でやらせてみようと思う。
「ほれ、まずその欠片全てに『錬成』かけろ」
「はーい………あ、無理ですね。はい」
そりゃ残念。まあ一本くらいなら壊しても大目に見てくれるだろ。それほど頑丈じゃなかったし。
しかしそれでも、だ。俺の手札、本格的にナッシング。生徒会の方も城塞擬きを造りなおしたし………そろそろ解禁かねぇ。
「じゃ、こっから俺は拳メインな。消し飛ばないくらいには気を付けるわ」
「はーい………って流せない言葉が聞こえたんだけど!?」
はて? 何の事やら? 俺は降ってくる雷を回避しながら思考を巡らす。
………おかしい部分、あったか?
「あー、わかってないね。非常識はこれだから嫌だね」
「おいハギ。お前はそんな言葉を吐くような子じゃあなかったろ」
「これは弟子からの愛のムチなのです!」
「知って無いのか?」
「無知じゃくて鞭ですー」
うん知ってた。まあ口には出さないが。
とりあえずハギが言いたいことは何となくわかるんだよ。ただ本当に消し飛ぶからなぁ………あ、二○の極みとかやってみるか。まああれも魔法頼みでやっと出来る程度のモノなんだけど………。
「………しゃーない。使うか、精霊を」
そう口にした時、何故かハギが笑ったような気がした。
復讐系作品で全ての復讐を終えた主人公が悪堕ちor虚無に陥る作品って無いですかね。寓話みたいな感じがしますが面白そうだなーと構成を練ってたりするのですが………やっぱ自分で書いたほうが良いですよね。
決着は次回に持ち越しです。たぶん次回で終わりますが、ハギ達の動き方次第ですね………後でこの回は改稿するかもです。