第219話 第二学年一学期 魔術大会16
『遂に決勝となりました! 魔術大会二日目! この戦いをもって、今日の、そして第一学期魔術大会のトリとしましょう………東コーナーは二学年のダークホースコンビ! たかが首席次席と侮ることなかれ! その実力は本物なクロヤ選手とスカビオサ選手のコンビー!』
準決勝までとは比べ物にならない熱気と歓声が、俺とハギを出迎える。
「長かったな………」
「うん。もう少しで終わりだね」
長かった。すげー長かった。もう挫折しようかと思ったけど、マツバ教諭との約束もあるから手を抜けなかった。故に長かった。
俺とハギは歓声に応えるなんて高度な無理難題をせず、スタート位置に。
『対する西コーナーは、生徒会本部の三年生の実力派コンビ! 万物を塵にかえすと謳われる『神雷』を使う副会長、そして『絶壁』の異名を誇る我らが生徒会長ーーーー!』
「お前ら………っ」
対戦相手である先輩方も入場してくる………しかし会長、憤ってんな。まあ誰でも、気にしてることを言われればそうだよな。
「オイ後輩くん。同情の視線は止めてくれないか?」
「あ、はいすいません」
とりあえず泣きそうだったとだけ。
「それでは決勝戦。ようい………始め!」
審判の合図と共に、俺は剣を横薙ぎに振るい、威力を最低限にした斬撃を飛ばす。
「──『鉄壁』」
しかし俺の斬撃が届くより早く、鉄の壁が地面から生てきた。斬撃は霧散。しかし鉄の壁にも、多少のダメージは与えられた。
「………鉄魔法、か」
「土魔法の亜種だっけ?」
「応用な。正確には土魔法と錬成魔法の複合」
「へぇ………後でやってみよ」
んー、まだ亜種系統は早いと思うが………侮りすぎかね? しかし以前から錬成魔法は使えてたわけだし、大丈夫なのか──
「『神雷矢』」
──反射的に、ハギを脇で持って大きく回避する。
雷………風属性か。
「ほほう。『神雷矢』を避けますか」
「こんなひょろひょろでも『眼』は良いんで」
あんくらいなら。と挑発してみれば、放たれる『神雷矢』とやらの雨。その一撃一撃が、魔力障壁を張っていない魔法師、魔術師にとっての必殺となりうるが………。
「! 全て避けたか………っ」
先輩は悔しげな表情を浮かべながら、次々と『神雷矢』を生み出しては放ってくる。
正直鬱陶しいな………。
「対戦相手は彼だけてはないぞ?」
「はぁ!?」
全身に鉄の鎧を纏った生徒会長が突っ込んでくる。
「つーか先輩方、俺ばっか相手してていいんすか!?」
「ふん。私の『檻』で、暖気に休んでおるわい」
ほー………視線を向けると、悪戯のバレた餓鬼のような様子でパッと『檻』を崩壊させる。
「貴様を倒してからじっくり──は? 檻がいとも容易く壊されたのだが?」
唖然とする。生徒会コンビを意に介すこともなく、ハギは「いやー何とも恐ろしい檻だった」と言う。
「あの檻は恐ろしいよケイ。人を駄目にする機能でも備えてるね」
「いや………ただ閉じ込めておくだけのモノなのだが………」
まさかホントにそんな効果が? と錯覚しかけている会長を無視して、俺はハギに判決を下す。
「有罪」
「そんな!?」
「嘘を吐いてる時点でワンアウト、休んでた時点でツーアウト、何となくウザかったからスリーアウトだ。全く誰に似たのやら」
「理不尽!」
横暴だと騒ぐハギを唖然と見る生徒会コンビに、一先ず──
「じゃあ、とりあえず第二ラウンドっつーことで、やりなおします?」
「「………だな」」
──てなわけで、開始位置に戻り、俺達は決勝第二ラウンドを開始した。
カクヨムコン6に出す作品書くため、もしかしたら次回の更新は遅れるかもです。