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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第202話 第二学年一学期6

 精霊は万物に宿る。

 土や火はもちろん、俺たちが着ている服や使っている家具にも、微かながら宿っている。

 無論この空間にもいる。個体数は少ないし、少々特殊。前に使った空間もいる。

 そんな精霊に、この空間を維持している精霊に、俺はアクセスする。本来の精霊とは異なり、役割を与えられた精霊に、アクセスして、土で出来た人形を造り出す。


「よし、じゃあ狙え」

「はーい」

「はい?」


 疑問符を浮かべる拓哉を他所に、ハギは嬉々として己の右手首を噛み千切った。


「《我が決断、この血に懸けよう》」


「《我が血弾、意志を貫く為の力》」


 重力に従い、落ちていく筈の血流は空中に留まる。

 ハギはその両目を金色に輝かせ、可視化されるほどに膨大な魔力を統べ、血液と混ぜていく。


「往け、『血弾(けつだん)』!」


 微かに光る赤黒い弾丸が土人形に放たれる。


「──ハギよ。忘れたのか」

「………あ」


 血液を固めた弾丸は、見事に土人形に当たった。しかし壊れてはいない。血がへばりついただけだ。


「確かに『血魔法』は魔術大会もとい対人戦では切り札なりえるが……土人形は人型なだけで生物じゃねえぞ?」

「そうだった………」

「あとお前、学園では『エルフ』で通ってるんだから、その魔法は使えねぇぞ? じゃあそれを踏まえてもう一回な」

「はーい」


 どこか不服そうに返事をしたハギは、瞳を閉じて瞑想を開始する。

 一秒、二秒、三秒………静寂が空間を満たす。今の俺には魔力を捉えることも覚束ないから、更に強くそれを感じる。


「──《地を揺らせ》」


 魔力を込められた言葉が、ハギを中心に地面を揺らす。


「──《ひび割れよ》」


 ハギの周り。揺れていた大地にひび割れが生まれる。

 その姿は、魔法士のそれと見て遜色ないように思える。身内贔屓かもしれないが、着実に成長している姿を見れたのは、とても喜ばしいことだ。


「──《研がれ、磨がれ、尖れ》」


 ひび割れ、宙に浮いた小粒の岩石群が、ハギの言葉によって更に磨かれ研がれ、尖っていく。


「《撃ち穿て》──『岩粒弾』」


 無数の鋭い、岩の魔弾が土人形に当たる。

 人形は砕け、その体を形作っていた土が、弾が当たる度に宙を舞う。

 全弾撃ち終えた頃には、土人形はその形さえ残していなかった。


「………いや、オーバーキルにもほどがあるだろ」

「え………あはは。興に乗っちゃってついつい………」


 笑い事じゃねー。つーかハギ、もしかしてヤバい趣向してしてんじゃねえの?

 道徳観、倫理観も育てるべきか………とりあえずライアと相談するってことで。

何とかは飼い主に似ると言いますからね。仕方ないですよね

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