第199話 第二学年一学期3
「──ふむ。まあ面白い同好会を作ったな。クロヤ」
「………」
放課後の職員室の一角。俺とハギはマツバ教諭から説教擬きを受けていた。
「それならいいでしょう?」
「ああ、同好会としてなら問題ないだろう………」
マツバ教諭は眉間に皺をよせる。
しかし同好会に入ったのは確か。別に悪いことをした記憶もない。
それはハギも同様だろう。
「確かに、問題はない。同好会の内容はしっかりしているし、書類は完璧だ……」
だがな……だがな! と叫び、書類を自分の机に投げ落とす。
「何が『帰宅同好会』だ! それにこの活動内容……無所属と変わりないからな!?」
俺たちは同好会を作って、それに属した。
そう。『部活面倒くせぇ』と本気で思ってる俺たちのための『同好会』。『帰宅同好会』を。
「ですが先生。活動内容もきちんと書いてますし、別にいいじゃないですか」
「……はぁ。とりあえず了承はした。しかし一つくらいまっとうな部活か同好会に入れ」
「はぁ……」
俺はこの学園の部活に何があったか思い出す。
魔法研究部A、魔法研究部Z、魔法工学部L、球技部R……どの部活にしろ派閥でわかれて活動していたように思う。
「この学園にまっとうな部活ってありました?」
「………では、これからも学年主席と次席の成績を維持するように」
俺たちの視線の先には、胃のあたりをさすりながら眉をひそめる教諭がいた。
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「いやーこれで部活問題は解決っと………」
「うん。後でマツバ先生に胃薬を贈ろう」
「だな」
俺たちの同好会『帰宅同好会』の活動初日。俺たちはその活動内容を忠実に実行している。
帰宅しているのだ。
とはいえこれくらいの時刻に帰っている生徒も幾ばくかはいる。俺たちは全然異色ではないのだ。ただ毎回この時間に帰るだけであり、全然異色じゃない………うん。異色じゃない。
会話もなく、ただ綺麗な夕日を横目に歩いていると、ハギが「そう言えば──」と呟く。
「帰宅同好会作ったわけだけど、そんなに部活ってひどいの?」
「酷かったろ………一つの魔法理論に傾倒しすぎだし、新しい魔法の分野を開拓する──みたいな向上心もない。あんなのに入るくらいなら、運動部に入ったほうがいいな」
まあ俺の場合、それだと色々学園に迷惑をかけそうなのだが………。
「へぇ………なんか大変そ」
「お前もこのまま順調にレベルを上げれば行き着く場所だからな?」
というかそのレベルに到達できるほどの『才能』もあるから、否が応でもこうなるから。と、口には出さず、内心だけで述べておく。
今からそんなこと知っても、得はしないからなぁ。
二年生編は次回から暴れます。まあ今回も暴れてましたが………個性が (ボソッ)。