第198話 第二学年一学期2
部活動。それは青春を棒に振ってまでする必要のあるものだろうか? 俺はそうは思わない。
しかし部活動──特に運動部に入っていると、後々の進路で些か有利にも不利にもなる。それが顕著なのがサッカー部や野球部だ。まあ理解できないわけじゃない。十代の頃から上にたち、責任を取るという経験は、どんなものであれ生かせるものだ。だからわかるのだが、納得できるかと言われれば否である。
まあ何が言いたいか簡潔にまとめると──
「「部活動面倒くせぇー!」」
教諭に呼び出された翌日の放課後。俺とハギは部活動を一通り巡り終え、教室で大声で叫ぶ。
あくまで一通りめぐっただけ。細かく見ていくとなると、時間が足らない。
「そもそも何でこんなに多いんだよ? 思想の違い? 知らねぇよ合併しちまえよ!」
「そうだよ! それに同好会って何さ!? 普通に既存の部活に入ろうよ!?」
本当になー。その後も俺とハギで学園の部活に対する愚痴を言っていく。
確かに必要かもだが、強要するなと言いたくなるものだ。
「──お二人。すまないが下校時刻だ」
「「………はーい」」
咳払いと共に、教室の出入口にいるマツバ教諭の声がやけに響く。
………あー、これ響いてたな。で、駆り出されたか。後で胃薬を恵む必要があるかもしれん。
「じゃあ先生さようならー」
「さようなら、先生」
「おう。まあ待てお前ら」
ぐえっ。鞄持ってさっさと帰ろうとしたら首根っこ掴まれました。虐待だよね? あ、はいスイマセン大人しくするんで許して。
「週末には入部届を出すように──さっきのは聞かなかったことにしてやる」
「りょ、了解です」
解放された俺は、そそくさと下駄箱に走る。そこには先に逃げたハギが何事もなかったかのように待っていた。
「遅かったね」
「黙れ」
その笑顔が無性に腹立つので、軽めのチョップをお見舞いする。
「ぶった! ママにも叩かれたことないのに!」
「軽くチョップしただけだろうが。あとその声やめろ」
ついでにその台詞は危険だから止めぇや。てか何故知ってる? 偶然か? それとも拓哉か? まあいいけど。
ハギは反応が気に入らなかったようだが。
「結構気に入ってるんだけどなぁ」
「せめて『ぶった! 二度もぶった! 親父にもぶたれたことないのに!』と使え」
「はーい」
暖気な会話をしながら、俺たちは帰路につく。
幸いなことに、部活動に関してはもう決まったので、俺もハギも心配はしていない。明日書類を提出すればいいのだから。
「………これが通るか、それが問題だ」
「だね。そしてタクヤさんは?」
「引っ捕らえられてたよ。嫁さんに」
さて、どんな部活に入るのやら………