第197話 第二学年一学期
花粉の季節も収まり始めた四月の後半。
無事に進級して、新たな学年に少しだけ慣れ始めた頃のある日の放課後。俺とハギは担任であるマツバ教諭に職員室に呼び出された。
「もうお前達だけだぞ。部活入ってないの」
職員室に呼ばれて一言目。それは俺たちに強い衝撃を与えるに足る言葉だった。
「え? 拓哉達は?」
「入ってるぞ」
な、何だと………。
「そ、そんな………拓哉が部活に入ってるだと!?」
「失礼すぎないか? ちなみに去年から入ってたぞ」
「何部ですか?」
「魔法工学部だ」
へぇ。魔法工学部ね………。
それにしても部活ねぇ………部活?
「そもそも俺、どんな部活があるか知らないんですけど」
「………は?」
「あ、私もです」
「………よし、部活見学行ってこい」
強制的に回れ右させられ、俺たちは職員室からでる。ちなみに繰り上がりで俺たちのクラスを持つマツバ教諭だが、最近胃薬が手放せないとHRで愚痴っていた………当て付けか?
「………なあ、部室とかってどこにあるんだ?」
「さぁ?」
とりあえず、気ままに校内をぶらつくことにした。
■■■■
「──てな訳で拓哉。部活ってどこでやってるの?」
「そっからなの!?」
おうとも。俺とハギは揃って、たまたま見つけて拉致った拓哉の言葉に頷く。
少し引きながらも、拓哉はどこか納得した表情を浮かべる。
「そういや、部活見学で啓達の姿見てないような………」
「うん。そもそもそんなのあったの初めて知ったんだけど」
「私も………」
「──」
唖然とされた。いやわかってたけどもさ………。
「まあらしいっちゃあらしいけどね? ちなみに部活見学は一週間ほどやってたんだけど」
「………」
「………ホントに?」
「いやそれ俺の台詞じゃないですかねぇ!?」
唖然とする俺と何とか言葉を紡いだハギに、見事なツッコミが入る。しかし、知らないものは知らないんだよな。
「いやホントに知らない。俺は初めてしった」
「あー、私は知ってたけどサボりました………」
「ハギお前………いつからグレたんだ」
俺はそんな育て方をした覚えありません! まあ育ててないけど。道徳方面。
しかし誰に似たのやら………拓哉の視線が痛い。
「そういや啓………高校時代に阿呆な同好会作ってたよな」
「あの時も部活見学してない気がするなぁ」
歴史は繰り返すもとい人生は繰り返すってか? 座布団持ってけ。
にしてもそうか………面倒なら同好会作るのもアリかもしれないな。
「よーし、明日の放課後から部活見学な」
「おー」
「そうか」
まあ結局やらんとだからな。仕方ない。
それじゃあ──と立ち上がる拓哉に、俺はもう一つ聞く。
「で、部活ってどこでやってるの?」
「そういえば言ってなかったなぁ!」
えー、この度は更新が遅れましたことを心よりお詫び申しあげます。
いやぁ一気に新学期に入りましたねぇ………はい? ホワイトデーのあの後? 後日やりますね。