第20話 入試当日4
「…………そ、そこまで! 勝者、受験者83番! 救護班! ただちに担架を!」
俺がおじさん(名前聞き忘れていた)を倒した数秒後、試験官がハッとしたように試合結果と終了を宣言し、試合を観ていた救護班の方々に、指示をだし始めた。
その後、俺は試験官に「帰っていい」と言われたので、とっとと家に帰宅した。
ちなみに、家から学園までは結構いい具合に遠いので、誰も見ていない所で『転移魔法』をこっそり使って帰った。
さて、これからどうしよう。
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その数時間後、学園内では学園長の頭を悩ませる問題が発生していた。
まあ、王都の学園なので、毎年問題が発生すると言っても過言ではないが………、今回の問題は、そんなものと比べることが出来ない程の事件だったのだ。
まず一つ目が、学園の教師でもほぼ最強と言われている脳筋老人にして学園長の友――『拳闘士アディ』が受験者との試合で敗れたという報告。
それも、相手は素手だった。と言う報告まである。
学園長も、嘘だと思ったが、実際にアディが担架で運ばれ、医務室のベッドで横になっているのを見て、自分は、夢を見ているのではないか? と、何度も疑った。
何度目夢から覚めろ! と言い続けても、頬をつねってみても事実は変わらないのだった。
本当に倒れているのだ。あの、不死身とまで言われたアディが。
ただまあ、「フフフフフ………遂に儂にとっての強敵が現れたわい」と、言いながら倒れていたところを見ると、なんだかそのまま寝ていてほしいものだが………。
この状態のアディを見た時、学園長は思った。
ああ、今年の新入生はいつもより面倒そうだな。と。
この連続投稿ですが、終わった後はまた不定期更新に戻ります。
………できれば週一投稿にします(検討中)。