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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第178話 第一学年冬期休暇6

本日2回目の投稿です

 深夜。

 健全な少年少女が眠りにつき、実在しない………というか実在したらただの変態となってしまうであろう偶像に願掛けをして寝静まった頃、健全ではない──というか少年少女ではない三人は、静かに応接間に集まっていた。


「………おはようございまーす」

「これやったら寝るけどな? あと俺たちがやるのは寝起きドッキリじゃないだろ」


 って、俺がツッコミしちゃったじゃん。

 小声で会話をしながら、大きな白い袋を持った三人──俺と拓哉と先ほどから無言のライアは、静かに移動を開始した。



「………まずはハギさんからだ」

「あいつは確実に寝てるからなぁ」

「そもそもこの国ではクリスマス前日に願掛けの風習がありませんからね」


 ある地域ではそういう風習もあるけどな。


「ハギの故郷──あ、前世の故郷な? 魔界にはあるぞ?」

「あー………」

「え? ライアさんだけ納得してるけどどゆこと? 教えて? 知恵袋!」

「お前小声なのにテンション高くないか………?」


 ツッコミとボケの役割が逆転してんぞ?

 そんな他愛ないバカな会話をしていると、早速ハギの部屋の前に到着。

 こっそり、バレないよう開けていく。


「………やべぇ………この寝起きドッキリ感たまんねぇ………!」

「これでもう少し暗ければ、なぁ」

「………マスター達の感性は些かおかしいのでは?」


 確かに。

 否定する要素は皆無。というか肯定しかできないので、俺は内心でのみ頷いた。


「さて、ハギさんへのプレゼント担当は………」

「俺とライアだな」

「ええ、素晴らしいものを用意しましたよ」


 俺とライアは大半を綿とかそういったもので嵩まししている白い大きな袋の中から、プレゼントを取り出す。


「………ペットは飼い主に似るというが、それは従者も同様か?」

「ハギはもう少しオシャレに興味をもっていただきたいですから」


 俺とライアは枕元にプレゼントを置く。


「さて、寝るか」

「おい待てこの野郎」


 ハギの部屋から出て伸びをして、いざ寝室へ戻ろうとしたら拓哉に止められた。


「俺のプレゼント配達が終わってないのよ」

「おう。頑張ってな」

「陰ながら応援させていただきますよ」

「ライアさんまで!? え、ちょっ!」


 本気で慌て出す拓哉をみて、ついつい吹き出す俺。

 ライアも………肩が震えていた。


「どうだ? 面白いだろ?」

「ええ。これはっ………癖になりそ………ふふっ」


 ふむ。やはり俺の影響受けてるな。

 てなわけで、行くか。


「………いや、毒されてるだけじゃね?」

「そうとも言えるな」


■■■■


 翌朝。早く起きた俺と拓哉。そして朝の早いライアで、ちょっとした雑談をしていると、廊下から足音が聞こえてきた。


「おはようケイ! プレゼント来てたよ!」


 扉を勢い良く開け、俺とライアのプレゼントを嬉しそうに持っているハギ。

 ………年相応の………いや少し幼いかもしれんが、凄い喜びようだ。何だこの微笑ましさ。


「? タクヤさん。どうしたの?」


 俺も気になり拓哉の方を向く。

 拓哉は目を手で覆っていた。


「ま、眩しすぎて直視できねぇ!」


 だよなぁ………そもそもハギ、本気でサンタクロース信じてる筋があるからな。

 ………汚いおっさん達の目にゃ毒だな。毒。


「?? とりあえず? 開けていい?」

「おうよ」


 別にお前の貰った物なんだし、どこで開けてもいいのだが………変な奴だ。

 まず開けたのは小さい包み。

 俺のプレゼントだ。


「これは──花飾り? と紫水晶(アメジスト)のネックレス? うわぁ綺麗だなぁ………」


 何あれ? 眩しすぎる。直視できねぇ!?


「??? ケイもどうしたの?」

「なんでもねぇよ」


 何とか耐えて、無事であることを伝える。

 ………しかしまあ、宝石でよくこんな細かい装飾が出来たよな。

 スキル様々ってことで。


「ねえねえ。このお花の名前は?」

「プリムラですよ」


 ライアの返答を、プリムラに魅せられながら聞くハギ。


「──じゃあこのネックレスの宝石にある模様は?」

「これは………杉じゃね? 拓哉、どうよ?」

「ん? ああこれは杉だよ」


 とのこと。尚、俺と拓哉、ライアは知っていました。

 ハギはトコトコと俺の所に来て、花飾りとネックレスを渡してきた。


「ケイ、着けてもらっていい?」

「お前師匠をなんだと………まあいいけどね?」


 俺は右耳の後ろの辺りに花飾りを着ける。

 結構小さめだから、変に目立たないな。


「ありがとう。似合ってる?」

「似合ってる似合ってる。なあ?」

「ええ。写真、いいですね?」

「あ、撮るの確定なんだ」


 家主だからな。

 横暴な従者兼家主が撮影会を終わらせた頃、園部と五十嵐が起きてきた。

第四章全体のちょっとの改稿作業を行いました。

前話の改稿もしました。今回の話の前半がクリスマスイブです。後半からはクリスマス──後書きで書くことじゃないですね。


ちょっとした余談ですが、作中で贈られたプレゼントにはきちんとした意味が込められてます。

これはちょっとした裏話ですが………ネックレスは啓君の決めた物ですが、花飾りは別の人と一緒に選んでもらってます。

ちなみに江戸時代、男性から女性に簪のプレゼントするという行為には求婚の意があったとか。本編とは関係のない話ですが。

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