第177話 第一学年冬期休暇5
「プレゼント交換~!」
野郎の声が虚しく響く。
………。
「んじゃ、解散ってことで──」
「待て待て待て待て!」
俺たちが席を立とうとした瞬間。とてつもない速さで止めにかかる拓哉。
………いや、別に本当に解散する気はなかったぞ? ホントダゾ?
「まあまあ落ち着け。からかっただけだろ?」
「息ピッタリすぎだなぁおい!」
そうかね? 俺たちは座り直す。
拓哉はそれを確認し、一つ咳払いをして話し始める。
「さて皆、プレゼントの用意はいいか?」
「………」
「………」
「持ってきたわよ」
「私も………です」
五十嵐と園部がきちんと包装されたプレゼントを取り出す。
………さて、重い沈黙が場を支配する中だが、勇者はその勇ましさを発揮した。
「もしかして啓とハギさん………プレゼント持ってきてない?」
「「いや、あるけど?」」
ズコーッと音がしそうなズッコケ、俺始めて見たわ。現実で。
俺とハギもプレゼントを取り出す。
「いや何さっきの沈黙!」
「拓哉。少しその反応は古くないか?」
「俺らの時代はこれが普通だよ!」
ギャグ漫画のな。
そんな一波乱を起こしながらも、プレゼント交換を開始する俺たち。
交換というかシャッフルというか………これ最悪自分にかえってくる可能性あるよな?
「──はいストップ! 止まれ!」
拓哉の合図に始まり、拓哉の合図で終わった。まあ進行役が拓哉だから当然だな。
「よーし。じゃあ開封は各々。今ここで見てもいいし帰ってからのんびり見てもいいってことで………」
と、拓哉は締めくくり、懐から54枚のカードを取り出す。
懐かしいなぁ………クリスマスパーティーという名のトランプパーティー。
「んじゃあ、俺紅茶持ってくるわ」
「あ、壊れた時計あるか?」
「おうともよ」
──ついでにアリスのお茶会もやったなー。
なお園部とハギは疑問符を浮かべており、五十嵐は理解した模様。
………何かむなしさが。
「──さて、毎年恒例ババ抜き大会ー!」
「いやー、今年は参加者が多いですねぇ。拓哉さん」
「毎年二人でしたからねぇ啓さん」
二十代の独身男がボロアパートの一室でやっていた聖夜のババ抜き大会。大分グレードアップして復活を果たしたのだ。
なお女性陣からの視線が優しいモノになっている。おい止めろ。
「──まあ別に罰ゲームとかないし、気楽にやろうぜ? 眠くなったらすぐ言えよ?」
解散の合図だけは設定して、俺たちはババ抜き地獄へと足を踏み入れた。
余談だが俺と拓哉でこのババ抜き大会をやった時、終わるのはだいたい朝方だった。
時期を考えろ。そうおっしゃる読者様がいるかもしれません。ごもっともな意見です。しかし、しかしです。やらねばならぬと私の中の何かが叫んでおるのです。
………はい。すいませんでした。反省はしてません更新です。
何故か『はっき』と打ったら予測変換の一番目に『発狂』と出てきたことが執筆中一番の衝撃でした。
まだまだ冬休み──クリスマスは終わりません。冬休みはもっと終わらない。
ここからは大人のターン! 良い子にはプレゼントが配られるのですよ?