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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第174話 第一学年冬期休暇2 【ライア視点】

「ライア。血管いるか?」


 ──ついに主の頭が壊れたか。

 唐突な質問に、私はそんなことを思った。

 無論、主は壊れてはいませんが………。


「………マスター。それはどういう意味で?」

「──まあ簡潔に言うとな? 『吸血鬼』って種族は定期的に血を飲まないと果てるんだわ」


 ………誠に申し訳ありませんが、何ですかその欠陥種族。

 いえ本当。申し訳ないとは思いますが………。

 主も同じ考えなのか、頬をかきながら言う。


「ハギはまあ死にはしないが、飢餓状態にはなる。

 二、三年放置すれば──ちょい睨むな。やらねぇっての」

「申し訳ありません。無意識に」

「お前ホント………何か残念になったな」


 はて? そうでしょうか?

 半目でそういう主に疑問を抱きながら、私は続きを促す。


「知っての通り俺の血は──今この肉体に流れる血液はハギにとって害だ」

「最悪、文字通り破裂する………でしたか?」

「そうだ。けど、ハギにゃあヒトの血が必要なわけよ」


 主は右手をくるくると回しながら言う。

 ん………? 指先に光? あれは………。


「だから『創った』んだよ。血液」

「………」

「………」

「………はい?」


 私の耳………いえ脳はおかしくなったようだ。

 一体何をどう聞き間違えれば『血液』となるのか………。

 しかし主は、先ほどの言葉を反芻する。


「だから『血液』を創ったんだけど………」

「………いくら神に等しい御力を手にしたマスターでもその冗談はいかがなものかと」

「それが冗談じゃねぇのよ」


 ちょっと手を貸せと、主は右手で手首を掴む。


──突如。そこに『何か』が入ってきた。


 私は咄嗟に右手を払いのける。

 ………さっきのは。


「どうやらきちんと『通る』らしいな………ん? ああ。アイツはそういう奴だから」

「マスター?」


 虚空に話しかける主に、やはり壊れたかと思い直す。


「──ああ、すまんがライア。俺の指先よく『視』てみ?」


 ? ………とりあえず、私は体内を循環する魔力を瞳に集める。

 すると見えたのは──


「なるほど。マスターはだから『創った』と」

「まあまだ『創った』だけだが………」


 主の指先にいたのは『精霊』。

 どうやら先ほどの痛みは、赤みを帯びたあの精霊が私の腕に入ってきて起きたようだ。

 ………ですが。


「その『精霊』は一体………まさか!?」

「だから言ってるだろ? 『血液』を『創った』って」


 主は笑う。

 その笑みは悪戯に成功した子供のようですこしウザかったのですが、それよりも驚きのほうがすごかった。


「主は──『血の精霊』を創ったということですか」


 私の言葉に主はただ「正解だ」とだけ呟いた。


「これをお前の魔力で飼ってもらう。こいつは『精霊』だし、お前は相当な『骨董品(アンティーク)』。そして魔力の流れる疑似血管まであるオマケつきなんだ。これ以上の適役はいねぇぞ?」

「………私に悪影響はないのですね?」

「たぶん魔力が変質する」


 ………なるほど。確かにそれはありえますね。

 ですが。ハギを救えるなら、答えは決まってます。


「わかりました。お受けしましょう」


 私は強くはっきりと、そう告げた。

冬季休暇とは (冬感なければ休み感もない)

次回はハギ視点でお送りします…たぶん

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