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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第168話 第一学年二学期 体育祭22

 小さな祝賀会は食事だけで終わった。

 ハギは風呂へ、ライアと女神サマは片付けを。

 俺は今回の主役の片割れとのことで、片付けに参加できなかった。

 だがら、一人暗い廊下を歩く。

 結構つらい。一歩前に進むたび視界が大きく揺れるし、何故か脳裏には辛い記憶が過る。

 風邪、なのだろう。俺はそう判断して寝室兼書斎の扉に向かう。

 その間も、目眩が凄い………。


「はい。ストップよ啓」


 突如、後方から『力ある声』に物理的に動きを止められる。

 こんなことできるおかしい奴なんて、今はこの家に二人しかいない。

 一人はライア。そして──


「あー、やっぱりそうなったのね」


 ──創造神の女神サマだ。


「やっぱ………って、どいうこと、だよ………」

「そのまんま。そうなると、私が予想していただけよ──喋りながら行きましょ」


 ライアが倒れかけた俺を支える。

 ………もう、喋る気力も残ってない。


「まあ、アンタの容態はアンタが一番わかってると思うけど………『ソレ』はアンタの『誓約魔法』でも封印は出来ないわ」

「………」


 わかってた。内から溢れでる、魔力とは異なるモノ。

 これを『封印』は出来ても──


「リソースが莫大すぎて、他スキルを強化すれば、()()()()アンタの肉体は爆散するわ」


 ──マジか。

 俺の想像以上の事に、言葉を失う。

 それほどまでに『コレ』は凄まじいモノということか。


「だから、アンタには──」


 女神は二つの選択肢を与えた。

 そして俺は悟る。この選択で、俺は誰かを傷つけることになると。


「さあ、選びなさい。私はアンタがどちらを選んでも──責めはしないわ」


 俺は──


 女神サマは、俺の『選択』に笑みを浮かべた。


■■■■


──ぼくは人形だ。

──大丈夫、大丈夫………。


 誰かが言い聞かせるように呟いている。

 寒い………どこか、こことは違う場所で。


──人形は傷つかない。

──人形は泣かない。




──人形はいつも笑顔だ。





 ──ああ、()だ。これは。

 目を開くと、そこは()の寝室だった。

 月の光が窓から零れている。まだ夜中のようだ。


「………嫌な夢だこと。ホントに風邪ひいたんかね?」


 そう呟き、俺は衣服が汗で少し濡れてることを自覚した。


「………風呂入るか」


 温くなってるなら、魔法でも使って暖めりゃいい。

 俺はそう楽観視して風呂に入り、そして──


「──そういや()()使()()()()()()()()()


 俺は掌の中で小さく燃える灯を見ながら、そう笑った。

自分は人形だから、何も感じないし、動じない。

大丈夫………大丈夫。

大丈夫なはずなのになんで、ぼくの胸はこんなにも苦しいのだろう?









はい。更新です。

こっからシリアスを2~3話以上の間続けるので覚悟しておいてください (まあ私が書けるかどうかも問題ですが)。

次回は体育祭最終日。そして魔法を使えなくなった啓は──って感じの内容を予定しております。あくまで予定です。

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