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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第167話 第一学年二学期 体育祭21

「うわー、タクヤさんの作品凄いねぇ」

「昔から器用だったからなぁ」


 まあ無自覚中二病なんだけどさ。

 俺とハギは選手席で、拓哉が戻ってくるのを待つ。

 拓哉、昔から神話とか好きで、その知識を披露してきたっけなぁ………。

 お陰様でその手の知識は人並み以上に持ってると自負してる。


「どーせ拓哉のことだ。『あー、お題のモノより○○作りてー』みたいなことぼやきながら作ってたんだろうよ」

「へぇ………」


 あ、こいつ興味無いな。

 内心悟ったが別に口に出す必要もないので、俺達は競技終了後観客席へと移動を開始する。

 午前の部はこれで終了。後は拓哉達の結果待ちのみ。これからは観戦するだけの時間となる。


「お、噂をすれば」

「すごい手、振ってるね」


 ハギは少し嫌そうに言う。

 わかる。わかるぞハギよ。


「………見なかったことにするか」

「それは駄目でしょ」


 だよなー。真面目な奴め。

 そんな会話をしていると、どこか満足げな拓哉が俺達に近づいてきた。


「よ、啓。ハギさん」

「お疲れー」

「お疲れ様です」


 拓哉は早歩きで俺達に追い付くと、一言大声で言う。


「大 満 足 だ!」

「そうかーよかったなー。けど近くでやられると色々痛いからなー? 耳とか」


 俺は耳を塞いだまま言う。

 ハギは直に食らったようだ………ドンマイだな。


「………辛辣じゃね?」

「近くでやられて嫌なのはホントだぞ?」

「それは俺もすまないと思うけど、啓も俺が叫ぶの得意になった原因の一端を担ってるからね!?」


 だから叫ぶでねーて。

 俺は直に聞いてしまった。あー、耳がー。


「いや嘘だろ!? そんな繊細な耳してないでしょ!」

「まあな」

「あっけらかんと!?」


 拓哉が叫ぶのを横目に、俺はハギの様子を伺う。

 あーあ、目ぇ閉じて耳まで塞いじまって………。


「おいおいどうすんだ拓哉。ウチの弟子『大声恐怖症』になっちまったじゃねえか責任とれや」

「知らねぇよ! つかそう簡単に『不安症候群』になるかなぁ!?」


 なんじゃねぇの? 全く知らないけど。


「………ちなみにだ啓。責任はどうとれば?」

「お前、そういうところ義理堅いよな」


 そこが拓哉の良いところなんだけどもさ。

 俺は少し考えて、ふと現実的で、理想的なことを思い付く。

 お、ハギも目開いて耳塞ぐのも止めたか。


「んじゃあ、ハギを嫁さんとして貰うとかどうよ」

「ハード! ウチの嫁さん怒るんで勘弁してください!」

「………この国、重婚も同性婚も認めてるぜ?」

「知ってるよ! けど嫁さんが許さないから! それに──」


 拓哉はそこで言葉を区切り、どこか羨ましげな視線をハギに向ける。


「──ハギさんには啓の方が似合ってるよ」


 そしてそんなくさい言葉を紡いだ。

 ………確かに、そうかもしれんが。


「まあ考えてみてくれ。お前にとっても、悪いことばかりじゃないだろうからさ」


■■■■


 結果からいうと、拓哉はぶっちぎりの優勝を果たした。

 まあもちろん、拓哉は一人『止めてくれぇ………褒めないでくれぇ………過去の俺が暴走したんだよ』と供述しているがそれはさておき。

 実際完成度は高いし、教会とかにあっても何の違和感もないだろう。

 ………まあ、秘密結社とかが持ってても納得なんだけども。

 何はともあれ二日目も終了した。俺とハギは家に帰り、ライアと女神サマからお祝いされた。


「お疲れ様ですハギ、マスター」

「おー、お疲れ………」


 食卓の席を囲みながら、俺は背もたれに全体重を預ける。

 別に疲れた訳ではない。だが違和感というものはあるのだ。


「どしたのケイ?」

「なんでもねぇよ」



 倦怠感、蟻走感、喪失感………言い表せない違和感を感じながら、俺はそれを言わずに、この一時を過ごすことにした。






「………」

遅れまして申し訳ありません。

現実が忙しかったり色々考えたりとあり更新遅れました。


さて、暗い雰囲気になりましたね。

シリアスな雰囲気の後は明るく──したいものですが、次回ついに物語の終着点を示します。

あくまで終着点の一部を示すだけで、完結はしません。

完結まではまだまだ………後二、三章はありますので、お付き合いいただけると幸いです。

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