第17話 入試当日
ここの回は数回に分けます。
さて、俺は今、王都の魔法学園の試験会場の中にいる。
理由はなに? ハギの見送りか? ――いやいや、試験を受ける為に決まっているだろう?
……ん? 聞いてない? そりゃぁ、言ってませんからねぇ………………ハギにも。
ま、まあハギとは違う部屋での試験だし? お、俺の顔も魔法で少しだけ変えたので? 今の時点でバレる可能性は相当低い。
ちなみに、受験者には番号のカードと受験票が配られており、俺は83番、ハギが51番になっている。
受験票にも番号が書いてあるが、これは持ち帰り用であり、番号のカードは使い回す物らしい。
そして受験票は記念品みたいな扱いだ。まあ魔力を記録する道具でもあるのだが。
「受験者は、全員……揃ったな? それでは、筆記試験……開始」
魔法学園の先生と思わしき試験官の合図で、筆記試験が開始した。
さて、入試の最初は筆記試験。
暇潰しになるかなぁ? って思ったんだけど………。
………何? コレ、バカにしてんのか? おい?
俺は、問題用紙を見て思った。
――コレ、簡単過ぎね? と。
まあ、魔法学園入学生の入試としてはいいものだな。そもそもそんな高度な魔法理論とかださないよな。
ちなみに問題は適当に文を考え、全問正解の回答を書いた。模範回答的なやつを書いた。
一応、少しは手応えがあった問題もあったが、すんなり解けるだろ、ハギでも。
開始数分で、全ての問題を解き終えた俺は、問題用紙の裏に、研究中の魔術の事を書いて時間を潰した。
……………なんか問題見てると、少し必要ない範囲まで教えちゃったなぁ。
すまんなハギ。反省はしないが許せ。
きっと後で楽できるから。
「時間だ! 筆記試験終了! 次の試験場である外へ全員移動を開始しなさい!」
試験官が煩い。
まあ響く声ではあるんだけどな。