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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第四章 精霊達の青春………?
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第164話 第一学年二学期 体育祭18

~ハギ視点~


『──続いて、一キロメートル魔法維持走です。選手が入場します』

『──競技、百メートル魔法維持走の生徒はスタート地点に集合してください』


 色んなアナウンスが鳴り響く中、私は走る準備を整える。

 ………うう、胃が痛い。

 私は気を紛らわすように、先ほどケイから聞いた話を思い出す。


「魔力は出してもいい………法力を抑えて………別の属性を………」


 魔力とは法力を活性化させる触媒………らしい。

 私も全然、一割も理解できていないけど、ケイが言うには『法力』は本来現実世界に干渉するほどの力はなく、思いと魔力によって属性と魔法威力は決まるのだとか。


「大丈夫………大丈夫………」

「始めます」


 うわ緊張してきた………。

 意識を反らして緊張を解そうという試みは失敗し、私は緊張からくる吐き気と共にスタートの合図を待つ。


「On Your Marks………set」


 スターターピストルが鳴る。

 同時に身体が重くなる。

 咄嗟に、私は魔力を纏う。

 そして思いだし出して法力を意識。勝手に魔力を用い活性化してる法力を、無理矢理抑え込む。


「少し楽になったけど………」


 余裕が生まれ、周囲を見ることができるようになった。

 まだ身体は重いし、ケイの言っていたような『応援』も聞こえてきて、私の胃にダメージを与えてくる。


「(ケイが『これは精神的にくる拷問だ』って言っていたの、少し理解できたかも………)」


 皆からの期待と、法力を無理矢理縛りこむことを意識しながら走る………確かにキツい。私は立つのがやっとだし、歩く速度もとても遅い。

 そりゃあ競技数が少なくて当然だね。完走に何時間かかるか──。

 ふとこの状態が数時間続くことを意識して、軽く絶望した。


■■■■


『ハギ、いいか? 千歩だ。千歩数えろ。それか前世で好きだったオーケストラとか思い出せ──ん? お前合奏とか好きだったの?』


 何分が経過したのかわからない。

 辛くて辛くて………けれどケイの言葉を思い出したせいか、一気に気が抜けた。

 それもこれも、競技が始まる前にケイとした会話を思い出してしまったのが原因だ。

 だってケイ。私の好みを覚えていてくれたんだから。

 無自覚であったとしても、それを私は嬉しいと思った。

 だからか少しだけ、活力が湧いてきた。まあ歩数を数える方法は私には向かなかったのだけど。

 だから、好きなことを考えることにした。

 好きな食べ物、好きな話、好きな曲………好きな人。

 色んな『好き』に、ケイは関連してきていた。


 私の好きな食べ物を作ってくれたケイ。

 私に色んな物語を聞かせてくれたケイ。

 私にオーケストラを教えてくれたケイ。


 ──きっとケイは忘れているけど、全てケイが教えてくれたのだ。

 世界の尊さを、美しさを。


『おい、惚気るな。思考が駄々漏れだ馬鹿弟子』


 ぐふっ………! 私は精神に大ダメージを受けた。

 もう戦えない。歩けないな………がくり。


『………なんか元気でてきた』

『………』


 何も反応はない。けど、きっと聞いてる。

 私は深呼吸をして、前を見据える。

 ゴールはまだ遠い。けれどスタートした時と比べれば、とても近い位置だ。


──いち、にい、さん、よん………


 私は一歩ずつ歩数を数え始める。

 最初はゆっくり。だけど少しずつ数えるスピードを上げていく。

 それに比例して、ゴールも近づいてくる。


──二十、二十一二十二二十三………


 もう無我夢中だ。呼吸なんて忘れて、ただこの辛い状態から抜け出したい一心だった。


 そして──


「(四十九五十………)」


 私は倒れるようにゴールテープを切った。

 顔面から不時着し、もう絶対この競技に出ないと心に誓った。

迷走しました(書いた本人が何言ってんだ)。

まあ実際、長距離走ってる時って景色見るか考え事するかしかないですよね。え? 私だけ?


まあそれはさておき更新です。なんか哀愁ただようような雰囲気出しておいて結果どーしょーもないことを誓わせました(迷走した結果)。

今回更に迷走し、いつの間にかハギ視点での話になっていたのですが………これ次回は拓哉視点確定演出ですかね。

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