第160話 第一学年二学期 体育祭14
一日目に俺やハギの出場する種目はない。
あくまで俺達は二日目以降。魔法競技と団体競技のみに出るのだ。
………つーか団体競技とかウチのクラス無理だけどさ。
そんな訳で時間は放課後。
下校はいつもと変わらないものだ。
「朝は緊張とかしたんだけどなー」
「まあ、ハギにとっては初めての体育祭だしなぁ」
「え? ハギさん体育祭初めてなのか?」
下校を共にしている拓哉が興味深そうに聞く。
………まあ、一年前までは辺境のド田舎にいたからなぁ。
「前世もアレだったんもなぁ」
「あー。お父様の過保護………」
なんか懐かしいな。
あの親バカ魔王、ハギが帰還してから数ヶ月くらい、軽く軟禁状態にしてたくらいだし。
んー? 今なら思い出せる………無理か。
まあそうだよな。俺の生きた約一万年もの記憶。
その中から一握りにもみたない一度きりの記憶を探すのは魔法を使っても難しい。
「あの時は………そうだ。誘拐されてたことも公開されてなかった」
「そうそう。久しぶりに皆に会って『風邪拗らせてたって聞いたけど大丈夫?』とか言われた時はビックリした」
帰ってくるまでそれで通せていたことに驚いたが………まあ病と無縁な魔族だったのが幸いし、風邪で通せたわけだ。
そもそも風邪をひかないわけだから、多種族の情勢を知る為の勉強をしていた魔王のみしか『風邪』を知らなかったのは良いことなのか悪いことなのか………。
「あれから魔族の中でも『風邪』が認知され始めたんだよなぁ」
「そういえば何か商売してたよね」
したなぁ。
おおげさなほどのパニックの波に乗って風邪薬とか回復薬とかを売りまくった。
「お前らしいことしてるなぁ」
「拓哉だってやってた筈だぜ?」
なんだかんだで守銭奴で商才のあった拓哉のことだ。商会とか作って経営していても不思議ではない。
「否定できない………」
「えー」
ハギと拓哉も、少しは仲良くなってきている気がする。
まあ共通の悪友がいるからかもしれないが………俺も被害被ってるからなぁ。ウィンウィンな関係?
「話戻そうぜ? ハギが始めての体育祭だったってあれ」
「あー、何か少し納得したわ。つーかその場面を見たかった」
「親バカ王族面白いぞー?」
「ドラマかよ」
こんな学生らしい帰路初めて経験したが、悲しいな。楽しい時間はすぐに過ぎる。
「拓哉はお嫁さんの所に帰るのか?」
「帰らないと怖いからな?」
拓哉はガタガタと肩を震わせてみせる。
顔を青いが………なんか拓哉、夏休みの間に一回監禁されたらしいんだよな。それがトラウマになってるとか。
「んー、まあ頑張れ?」
「………おう。適度にな」
俺は拓哉にこっそりと少しの間敬礼をして、再びハギと帰路につく。
「そういえばケイ。私の『お父様』のこと………思い出した?」
「無理だっての」
「えー」
えー、じゃねえよ。
──転生の時、俺はこれまでの転生分の記憶を返されたんだぞ?。
約一万年分の記憶を、だ。
それほどの──きっとそれ以上の量ある記憶。そん中から一回の人生の一度しかなかった出来事を思い出せとか東京ドームの床に新聞敷き詰めて天井から針を一本落として特定の文字を貫くことくらい難しい………説明がややこしいが、それだけ大変なのだ。
そんな量の記憶を返すとなると、人の器に収まらないのも当然のことだ。
だから俺は『精霊』として生まれかわったのだろう。
全盛期の姿をして。
「でもさ──」
ハギの呟きで、思考の海に落ちていた意識が引き戻される。
どこか嬉しそうなハギは、俺のほうを見てこう続けた。
「いつか………思い出してね」
よっしゃギリギリ更新できたー!来週も頑張るぞ………あれ? 来週時間がないヨ? あれー?
………はい。ふざけましてごめんなさい。時間がないのは本当ですが更新です。少し恋愛系作品っぽい終わらせかたを意識した回なのですが………なんかこんな感じ、ありそうじゃないですか?
ところで四十話書いた作品と何話書いたかわからないけど一章分は書いた作品ってどちらを先に投稿したほうがいいのでしょう?
ふと湧いた疑問なのですが………やっぱそういうのは自分で決めたほうがいいのかもですね。
さて、次回のお話 (予定)ですが、啓が何故精霊として転生したのかについて触れていきます。
なお100%行き当たりばったりな設定なので多目に見て………くれませんかね?
一応、作者的には納得できる設定なんです。
ここでは書けませんが………まあ能無し排気ガス製造機の書いた作品 (駄文)です。表現力に期待しないでください。
………というか次の話体育祭要素あるのか? まあいいや (アホ)。