第155話 第一学年二学期 体育祭9
体育祭当日。
今日は生憎の曇り空だが、俺としては嬉しい限りだ。
「──マスター、本当に行って大丈夫なんですよね?」
「お前変な所で臆病だよな………」
誰に似たのやら………いや俺じゃない。たぶん。
「ですが、本当にいいんですか? 何かが滞ることとか………」
「お前このやり取り何回目よ………事前に決めてたろ? もう少し信用したれよ」
ハギだって少し呆れて………いや、そういう一面もあったのかと関心持ってたわ。
とはいえ前から決めてたことだし、もう少し信用してもいいと思うのだが………。
「………しかし今は代替わりの時期! やはり私が行わねば!」
「それらは一昨日に終わらせたろうが! もう少し俺達で育て上げたモンスター達を信用しろっての………」
変な所で心配性になるなよ………俺に似おったなライア。
しかし心配になるのも無理ねえよなぁ………。
俺がどう説得するか悩んでいると、ハギが口を開く。
「私は、ライアお姉ちゃんにも見てもらいたいなぁ………」
「ええ行きましょう準備はできております後のことは彼らに任せられますし弁当の準備も万端です」
すごい掌返しだこと………いやいいけど。これ以上茶々入れる気もないけど。
というか何だったんだよさっきのくだり………。
「んじゃあ後から頼む。先行かんとだから」
「行ってらっしゃいませマスター。そしてハギも、頑張ってきてくださいね」
「うん!」
俺達は一足先に学園へと向かう。
ライアは今日の最終調整もあるし、俺達はどっちみち早めに行かないとだし………怠いったらありゃしない。
そして前世の時から思っていたが、なんで体育祭の日も制服で登校せにゃならんのだ? ジャージでよくね?
「うーん………何かお姉ちゃんってケイの影響濃く受けてるよね」
「おいどういう意味だコラ」
いやわかるけども。
というかライア、結構内心文句を垂れ流していても不思議じゃないよな。主人がこんなだし。
「深い意味はないけど………雰囲気とか?」
「俺あそこまで手厳しいですかね?」
「うん」
即答かよ。
まあ弟子には厳しい自覚はある。そういう風に接しているし。
あんまそういうのは得意じゃないんだが………『演技』スキル様々だよ。本当。
「それに優しいよね。何だかんだで」
「………褒め言葉と受けとるぞ」
「そうだけど?」
照れ臭いなぁ………崇められたことはあっても、同じ目線で褒める奴とか、周りにいなかったからなぁ。ともかく慣れてない。
慣れるべきだよなぁ………まあ無理か。
そういうモノと割り切り、ふと時計を見ると時刻は八時に近い………え? マジかよ。
「ハギ走るぞー」
「え? ええ!? 嘘ぉ!?」
そりゃそうだよな。ライアと結構ぐだぐた喋ってた訳だし。
時計を見て慌てだしたハギと共に、俺達は全速力で学園へと向かった。
■■■■
「──さて、これで完了ですかね」
一通りの指示──と言っても、前日に知らせていたのだが──をし終えたライアは主人謹製のカメラと自作の弁当を持ち、懐中時計を見る。
時刻は午前九時前。主人から体育祭のスケジュールを聞いていたライアは、従者の装いから主人の友人達と妹分に見繕ってもらった服装に着替える。
「大丈夫なのでしょうか………」
ライアは薄手の白ニットにグレーのコートを羽織り、ジーパンという地球では普通であろう服装。
しかし彼女の美貌なら何を着ても似合うし人の目を引くであろうが、彼女の心配しているのはそこではない。
この服装に決めたのは五十嵐露と薗部日由の二名。
二人の決めた服装をハギに褒められ、ライアはこれにしただけであり、服は啓がスキル育成の為に作った物であり、この世界で売っているものかどうかも定かではない。
ライアが知らないだけで普通に売っているが、彼女はそういう店に行くこともなければ見ることもないので知らないのだ。
「………まあ、大丈夫でしょう」
主人のような心配性な一面のあるライアだが、諦めの速さも主人に似たようだ。
ライアはこの日の為に用意されたスポーツシューズを履き、ふと玄関が開いていることに疑問を抱いた。
普段閉じているはずの扉から外を窺うライア。
その先には──
「久しぶりね」
「ええ。お久しぶりです──創造主」
更新です。駄文製造とかルビ振らないように。
………はい。久しぶりに登場するキャラでライアと敵対してないことから誰だかお分かりだと思いますが名前は言いません………てか、一言しか喋っとらんやん。描写も全然してないしセリフだけだぜ?(そうした奴が何言ってんだという話ですが)
さて次回は体育祭開始………前の啓達のクラスでの話です。ちなみに体育祭の日も制服で登校することが本当に嫌でした。着替えるの面倒だし。
あ、ライアの発言は結構引っ張るつもりなので。
約二章くらい? まあ今のところこれ以上何も言わないとだけ思っていただければ幸いです