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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第三章 長期休暇を使った旅行
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第146話 情報共有

次回から四章と言いましたが、あれ嘘になりました。

 俺の屋敷の一室。

 拓哉がインテリアを改造したことで少し暗い雰囲気となった部屋で、三人の人間と俺が真剣な面立ちで対面する。

 吸血鬼と従者は少し離れた場所で、俺達の馬鹿な雰囲気を冷めた目で見ていた。


「………よし、じゃあ始めるぞ──王都全域食○ログ完全版を!」


 ──要は『王都全域の美味しいもの共有しようぜ?』って話。

 事の発端は夏休みが始まって一週間もしなかった頃。

 拓哉がふと、呟いたのだ。


──『なあ、四人で王都の飲食店制覇しようぜ?』と。


 そんな面白いこと言われちゃあ端から見てるなんて馬鹿なことは出来ない。

 幸い園部と五十嵐は賛成だったし、それじゃあ四手に別れて店巡って、それを夏休み最終日に報告しあいましょ。となったのだ。

 ちなみに拓哉は東側。薗部は南側。五十嵐は北側を担当。俺は西だな。

 更にどうでもいい情報だが、西は飲食店の激戦区。

 ………うん。俺が適任って訳だ。

 西は庶民が生活する区域だし、庶民が経営する店も多くある。

 場所によっては右向いても左向いても飲食店というところもあり、屋台も豊富だ。

 だからこそ、俺が適任な訳で。

 拓哉が言っていたのは『飲食店制覇』。

 基本的に店のオススメを食べて巡る訳だが、場所によっては笑えない料理も出てくるのだ。


「んじゃあ………全員の配るぞ」


 余談だがこの世界の太陽も東から昇る。

 だから王宮も方角的に左側にある。

 さらに余談だが、商人の間では「西から昇ったお日様が東へ沈む」という諺がある。

 これは庶民の住んでいる区域で商売して成功している商人が貴族に買われることを指す。

 そしてその場合基本的に商売ができなくなる。そして衰退。

 まあ貴族と庶民じゃ求めるものが違うからな。

 そんなあるあると太陽をかけて、俺が少し前世の記憶に引っ張られてできたのが『西から昇ったお日様が東へ沈む』という諺。

 ………うん。諺じゃないし、話が大幅に脱線したな。


「まずは拓哉のから見るか」


 俺は分厚い資料をめくる。写真もうまそうに撮れてるし、コメントも当たり障りのない、批判的でも友好的でもない、客観的なモノ。

 なお、ハギとライアもこの会議の中には入っている。

 拓哉、相変わらずまとめかた綺麗だなぁ………。


「俺は店のオススメ料理の味で複数の分類に分けてみた。

 あと俺的にオススメの店を数点ピックアップした」

「──さすがは元工場長」

「ははっ、事務作業しかできなかったけどな」

「「?」」

「え、拓哉が工事長? ない」

「………チョッと想像つきませんね」


 だってよ拓哉。

 まあ工事長やっていたけど、拓哉は雑務に追われてたからな。

 そのくせ何事もないように笑ってるんだせ? 大物だよ。


「………まあ魔改造しちまうお前さんが悪かったけどな」

「いや、効率的にできるなら良くね?」


 良くねえよ。

 きちんと考えられてるんだから守れよ。

 そういう遊び心は捨ててこいよ………まあ拓哉らしいが。


「──それにしても、貴族の居住区にもいっぱい飲食店あるんだ」

「上流階級向けの、とてもお高くマナーに厳しい所ですけどね」

「あれ? なんか興味失せてきた」


 いや、中にはマナーを気にしない所もあるぞ? まあ服装には厳しいだろうけど。

 まあマナーで言えば、拓哉はその辺出来てるから。

 前世ではお偉いさんの接待もしてたらしいし。


「まあもう行かないからな? サーシャがいなければ胃に何個穴あけてたか………」


 胃をさすりながら言う拓哉。

 後で胃薬でも贈呈するか。


「あ、オススメは少し路地の方に入った所にある『馬と鹿亭』な」

「あそこまだあったのかよ………」


 創業から知っている店の名前が出てきて、思わず反応してしまった。

 名前はふざけたが味は絶品だからな。

 それにしても『馬鹿亭』まだあったのか。


「? ケイ知ってるお店?」

「お前さん地味に質問してくるなぁ………まあ創業当時から知ってる。今は──何代目だ? 五十代目くらい?」

「店主は五十代目。順調に行けばお弟子さんがその後継ぐだろうな」


 へぇ、後で顔出すか。

 それじゃあ、次見るか。


「次啓の見ようぜ」

「別にいいが………多いぞ?」

「「「「「………」」」」」


 おい、黙るな。

 俺のまとめた資料は多すぎて、紙の使用枚数が拓哉の資料の倍以上。

 というか西区は飲食店多いから、仕方ないんだけど。


「飲食店多いから、場所で分けたんだ。許せ」

「まあ激戦区だからな」


 しゃーないな。という雰囲気で資料をめくりだす。

 色んな店と比較してると結構文章量も多くなるんだよな。


「──とりあえず、後で表通り行くわ」

「私は裏通り」

「わ、私も裏通りで………」


 三者二様。見事に性別で別れたな。

 とはいえ表通りは濃い味が多い傾向にあるから、薄味が好きなら裏通りの店行くんだよな。

 安いしうまいし、専門店とかもあるから、そこで食べ比べってのも面白そうだし。


「ハギはどうだ? 要望言ったら連れていくかもしれんぞ? ライアが」


 ライアが視線で「押し付けるな」と訴えているが、無視。

 少しは自分で味の開拓でもしてこい。

 味覚機能はそのためにつけたんだし。


「うーん………私は表通りかなぁ」

「血とか味濃そうだもんな」

「人にもよるんだと思うよ?」


 まあそりゃあどうでもいいけどさ。俺吸血鬼じゃないし。

 次いくか。


「それじゃあ私達のね」


 俺達は園部と五十嵐の資料──ん? まあいいけど。

 俺は園部のまとめた資料を見た。

 ──さて、五十嵐のから見るとするか。


「いやいや啓さん? なんで私の資料一頁めくって『よし、わからん』みたいな感じで露のいくのよ!」

「そりゃあ………なあ?」


 俺は拓哉を見る。

 おい、目そらすな。

 次、ハギとライア。

 ライアが読んでるが………。


「? マスターから聞いていた以上に『日本語』とは難しいのですね」

「「いや、日本語かどうかは横に置いといてくれ」」

「拓哉と啓さんひどくない!?」


 ………いやごめん。俺にフォローは無理だ。

 というかこれ日本語? 日本語の形した別の言語じゃね?


「あのな日由。俺達オジサンなの。若者の流行 (笑)にはついていけないのね」

「流行 (笑)って………」


 お、五十嵐にもウケてるぞよかったな拓哉。

 まあウケ狙いじゃないんだけど。


「とはいえ翻訳しろとは言わん。っつう訳で皆で行くぞ! 後で!」

「おい、そろそろ五十嵐の方も読むぞ」


 とはいえ五十嵐のは綺麗にまとめられている。

 個人的な意見を一言添えているところ、結構ポイント高いんじゃないの?

 拓哉もパラパラ読んでるし。


「ツユちゃんのとても読みやすい!」

「そうですね。基本的な情報から、個人的な解析………見習いたいものですね」

「て、照れるので止めてください………」


 五十嵐が資料で顔を隠す。

 少しほっこりしたり。

 ところでライアは見習うじゃなくて見倣うだろ。


「──それにしても俺達よくこんなことやりきったよなー」

「お前が言い出しっぺだからな?」


 椅子を左右に回している拓哉に反射的にツッコミを入れる俺。

 ………なんだろうな。拓哉といると俺がツッコミになるんだよな。


「まあいいや。南区は次の週末にでも行こうぜ?」

「お前の婚約者も一緒か」

「げ、そうだった………」


 忘れられてたのかよ。不憫だな。

 まあ当の本人が幸せならいいよな。うん。現実逃避とか言うな。


「それじゃあ──解散!」

「お疲れー」

「お疲れ様ー」


 俺達は少し雑談をして、解散した。

本当すいません。ついつい書きたくなって………設定がガバガバでしたし、王都についてまとめるのに適当な時期かなとも思いまして。

とはいえ次回からは本当に四章です。

………啓達の食べ歩き回見たい人がいるのなら別ですが、いないと思うので。

とはいえ私の気まぐれで三章が増える可能性はまだあります。

改稿もすこしずつ行っているので、四章は………いつになりますかね? 早めに投稿したいと思います。


長い後書きになりましたが、これからもこの作品をよろしくお願いします。

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