表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第三章 長期休暇を使った旅行
141/318

第138話 語られてきた伝承って結構真実とは程遠いことあるよな

 さて、自業自得ながらも大さんをキレさせてしまったわけだが………マジでどうしよう。

 ………まずはあの魔剣を壊すか。

 俺は振るわれた魔剣の刀身を掴む。

 これで強引に刀身を折れたら………それはそれで楽ではあるが、実用性重視の魔剣にそれは悪手だ。

 それに、もっと簡単な方法もある。

 それは………。


「――! なんだこの魔力量は!?」

「俺の魔力だよっと!」


 俺は魔剣に魔力を注ぐ。


――どんなものにも限界はある。


 そう。俺は無理矢理魔力を押し込み、魔剣の持つ魔力許容量を越えようとしているのだ。

 もちろんこれは俺でなければできない芸当。

 無駄に魔力が有り余っている押し込みだからできる技。


「ハハハッ、まさか自ら自身の寿命を縮めるとはなぁ!」


 俺は無視して魔力を注ぐ。

 ………これ、注ぎすぎても爆発するからなぁ………後どんだけ入れりゃいいかね?

 そんなことを考えていると、刀身が割れていく音が聞こえてきた。


「!? なぁ!」


 大さんが驚いてるが、俺の知ったことではない。

 俺はこれが綺麗に割れる魔力量を見極めるのみ。


「バカな!? これは魔力を無限に喰らう魔剣だぞ!」


 ………いや、誰も無限に喰らうとは実証してねぇだろ。

 まあこの魔剣が満足するほどの魔力を持ってる奴がこの世にいないだけなんだけど。

 大さんが叫んでいる間に、俺は魔剣を粉々に砕く。

 うむ。よい飛び散りっぷりだ。


「そ、そんな………無限に魔力を喰らう魔剣なのに………」


 まだ言うか。いい加減現実を飲み込めよ………まあ無理な話かもしれんが。


「………世の中に『無限』なんてそんな都合のいいモノあるわけねぇだろ………」


 無限というのは人が思い描いた空想の数だ。

 世の中、全てのものは『有限』だ。

 食料も自然も寿命も………それは魔力であっても例外ではない。

 有限だからこそ、人々は争いを行うのだから。

 もしも『無限』という概念があるのなら、もっと『争い』の少ない世界だっただろう。

 まあ価値観による争いは無くならないが………それでも今よりマシな世界だったはずだ。


「………くっ!」

「――おっと逃がさんぞ。自らの罪を自覚して牢屋で反省しろ」


 俺は小道具を使ってまでも逃げようとしたその心意気には感心しながらも、逃げられると厄介なので組伏せ、間接を外す。


「ぐぅっ………まだ、我は『時詠み』を………!」


 未だに『時詠み』に執着するこの男………何なの? 御先祖様が『時詠み』に殺されたの? まああり得ないけど。


「『時詠み』を使えば俺に勝てると?」

「そうだ! あの力を我が物とすれば、お前なんぞ簡単に――」


 それは違うんだけどなぁ………はぁ。まあ伝承はきちんと正しく伝えんとね。

 俺は獣人の頭を抑え、目を見て言う。



「あのなぁ………ただの人が『時詠み』を御せる訳がねぇだろ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ