第128話 侵入
ハギ視点です
一人ヤブ医者のいるという薬局に行く最中、私の脳裏にふと、こんな考えが過った。
――なんか、うまく言いくるめられた気がする。
そう考えたら、なんか色々と今の状況がおかしいような気がしてきた。
特に今、何で私は一人で薬局に向かっているのかな?
私、確かにケイを巻き込んだと思ったんだけど………気のせいだっかな?
というかこれ、ケイから誘ってきたよね?
なんで私一人で薬局に向かってるの………?
そもそも、ケイが頑張れば私必要ないよね?
ほら、あの………うん。えげつない魔法使えばさ………。
『ほれほれ、早く腹括れ』
『外野は黙っててくれませんかねぇ!?』
本当ウザいんですが!?
というか勝手に話まとめて「じゃ、俺は用があるんで」とか言ってどこか行ったよね?
………まさか、逃げるための口実………嘘の可能性が。
『そこを右に曲がれば、ヤブ医者さん――盗賊さん達のアジトな』
『そ、そんな………』
私は絶望する。
う、うぅ………なんで………なんで…………。
「なんでもう着いちゃうかなぁ!?」
慟哭する私の声が路地に響く。
慌てて『偽装』スキルで私自身を隠す。
これ私、完全にケイに嵌められたよね?
掌の上だったよね?
『………覚悟、決めよっか』
かっち~ん。
………とはいえ、今ここで怒っても無駄に時間と労力を使うだけ。
………よし、帰ったらケイの血を殺す気で飲み干そう。
まあケイがその程度で死ぬわけないけど。一応神様らしいし。
それに新しい血に変えたいなぁと思ってたし?
私は予備の血を『血魔法』で操作して予め取り出しておいた筒に適量入れ、『闇属性』の魔法の一種である『毒付与』を血に行う。
筒に蓋をして、準備は整った。
後はこの建物に入るだけ。
私はポケットから『鍵』を取り出す。
ケイから預かったこの鍵は、名前を『万能鍵』と呼ぶらしく、その名の通り、様々な扉でも開けられる鍵らしい。
しかし弱点もあり、なんと物理と魔法の複合のモノには弱いのだとか。
その場合魔法による解除が必要なため非常に面倒だとか。
まあ、今回の場合は物理のみらしいから、普通に開くけど。
私は鍵穴に『万能鍵』をさしこむ。
すると『万能鍵』が少しずつ形を変えていく。
………うん。変形にかかる時間暇!
知ってたけど! 聞いてたけど! 暇なものは暇!
この時間を使って『毒付与』すればよかったよ………。
ため息を吐き、私は鍵が開くのを待った。
どうも。お久しぶりです。
なんか最近時間がないわイベントという名の面倒は多いわで執筆するタイミングがなかったです。
テスト前に更新できなかったのが悔しいので、次回は早めに更新することを誓います (というか、構想はできているので書きたいだけ)。
時間がないので、そこまで期待はしないでくださいね?