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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第三章 長期休暇を使った旅行
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第125話 きちんと言葉にしないと伝わらない

 その後もお粥の作り方を教えたり『霊薬』や『霊薬生成機』の説明をしていたら、いつの間にか時間は過ぎて午後六時。

 未だにヨミとカレンの親御さんは起きないが、それは『霊薬』が効いている証。

 まあ明日から様子見と………また来ること確定か。

 いやいいけどね? どうせまだ余裕はあるから。

 なくなったら『転移』で帰宅するし。

 話の脱線はさておき、俺とハギはそろそろ宿探しを始めないと本当に今日は野宿になるという不安に駆られながら宿を探す。

 特にハギは真剣に探す。

 俺? いや特に。

 どうせここらのモンスターには倒されないし盗賊とかも俺を殺せないという………俺、死ぬには『地球』に行くしかないんだよ。

 まあその『地球』であっても数時間だったら生きてられるけどな。

 ………あの女神………次会ったらやけ酒に付き合ってもらおう。

 もちろん酒はあっち持ち。

 俺が持ってくのは日本酒一升瓶一本かな。


「ケイ。あの宿でいいんじゃない?」

「そうだな。んじゃあ今日の寝床確保に動こうか」


 俺は『会話』スキルを意識する。

 もうね………様々なスキルを持つ反動? で、意識して使わないとスキルが効果を発揮しないんだが?

 まあ『会話』スキルの場合俺が『口下手』スキルとの相性がバツグンだから一般的なコミュニケーション能力しか得られないというなんとも残念なスキルとなっているが。

 覚悟を決め、俺は宿に入っていく。


「いらっしゃい。お二人様………食事かな?」

「「一人部屋を二つお願いします」」


 息ピッタリ。

 しかしハギも疲れているのだろう。

 ………そうだよな。『錬金術』スキルを会得して一時間もたたずに『霊薬』という奇跡の薬を作ったんだ。

 今日は労おう。


『手続きはやっておくから自由行動していいぞ』

『はーい』


 ハギは早速宿を出ていく。

 俺は会計と二部屋分の鍵を入手。

 ハギに片方渡さんとな。


『………あのすいません。近場の銭湯教えていただけます?』

『………少し待ってろ』


 結局、俺達は合流し身体に付着した汚れやらを落とし宿に戻った。

 鍵は風呂あがって宿に帰る途中で渡した。

 夕食は近くの川で取れた魚の塩焼きに白米。そして味噌汁に切干大根に………と、和食のオンパレードだった。

 そういや異世界………日本からの転生者と転移者の三人組が和食が食べたいと言っていたな。

 まあ何もしないけど。


「ふう………美味でした」

「何故に美味? 普通に美味しかったでよくね?」

「雰囲気だよ」


 ………若者の思考がわからん。

 まあ今の俺、地球の知識では拓哉にも負けるからな?

 流行も知らん………いや、これもともとだ。

 拓哉は神話とかも好きだから、たぶん俺の知識は越えているんだよなぁ。

 それに拓哉、結構SFとか好きだったはずだし………。

 うん。あいつもそこまで若者の思考………というか同年代とは違う思考の持ち主だった。

 そもそも俺と関わっている時点で結構おかしいからな。


「んじゃあ、部屋戻って寝て……」

「明日はカレンちゃんのお母さんの容態を見るんだね?」

「そうだ」


 とはいえ、様子見でしかないんだよな。

 さすがに魔法で回復させるわけにはいかんし………明日どこ観光するか。

 俺は寝落ちするまで魔法を使った検索を繰り返した。


■■■■


「お天気快晴繁華街商売繁盛………」

「私達にはもう無………理」


 早朝の宿屋の前。

 迷惑行為だが、俺達は呆然としていた。

 畜生完全に忘れてた。

 この国朝早いの。

 ………まあ自業自得さね。さっさと行くか。

 俺達師弟。仲良く隅を挙動不審な状態で歩き逆に注目される………笑えねぇ。



「おはようございますケイさん。ハギさん」


 家に着くと、洗濯物を干し終わったヨミに出迎えられた。


「おはようヨミくん。もしかして早かった?」

「いえ、丁度一通りのことは終わりましたから」


 なるほど。

 それにしてもハギは俺よりコミュニケーション能力高いな。

 ちょっと弟子入りしたいわー。


「どうぞお上がりください。お茶を用意しますので」

「いや、大丈夫だ。今日は様子を見に来ただけだから」


 俺は家に上がる。

 靴を揃え奥の部屋に行く途中、起き上がりカレンと会話している声が聞こえた。


「お母さん。ケイさん達が来たよ」


 ヨミは障子を少し開ける。

 そして少し間を置いて、中から「お入りください」という言葉が。


「はじめまして私の恩人さん」


 凛とした声が響く。

 もしかしてあれか? 『美声』スキルと『魅了』スキルの複合スキルである『魅声』でももってんの?

 まあ『美声』のみかもしれんが。

 その外見も美しく思える………あ、『魅声』持ちか。

 紫色の髪が反射しており、それがまた一層美しさを掻き立てている。


「はじめまして。私はマユリと申します」

「ハギです。こっちはケイです」

「啓と申します」


 こらハギよ、師匠を『こっち』とか言うなや。

 出来れば『隣の男が』と言ってほしい………いや、俺もたぶん『これは』とか言いそうだけども。 


「お二人のことはヨミとカレンから聞いています。

 本当、ありがとうございます」


 マユリさんは頭を下げる。

 いやいや、そんなことされても。


「私達はただ少し縁が合ったから助けただけです。運がよかっただけですよ」


 ハギ、お前いつの間に謙遜なんて覚えたんだ?

 弟子の成長を見れて………おや、涙脆くなったもんだ。歳かね?


「………あの、ケイ? 何で私をそんな優しい眼差しで見るのかな?」

「弟子の成長を喜ばぬ師匠がどこにいるか」


 まあ師匠らしいことなんてあまりしてないけどな。

 そんな俺達を見て笑うマユリさん。

 ………なんかさん付けしたくなるのだが。


「うふふ、聞いていた通り面白い方々なのね」

「面白い方々………カレンちゃん達、何を言ったの………」


 ハギが寝ているカレンにジト目を向ける。

 しかし、寝ている相手に効果はないようだ。


「ハギ、それより体調診るぞ」

「あーはいはい………どうやるの?」

「………は?」

「え?」


 いや、教えた魔法でできるのだが?


「『鑑定魔法』は使えるだろ?」

「え? あれって………え?」

「え? じゃねぇよ」


 ちなみに『鑑定魔法』には様々な種類があり、その中の一つに『毒物鑑定』というものがある。

 まあスキルでも『鑑定』とかあるんだけど、この魔法は医者しか使わないからあまり知られてないんだよ。

 そもそも普通に毒の有無をなら『解析』の方が精度高いし。

 まあその分『解析』スキルと『解析魔法』の習得難易度は高いけどな。

 最終的に、『鑑定』は魔法もスキルも知識に依存するから知識さえあればなんでも鑑定できる便利魔法ではあるんだよな。

 ………あれ? そもそもハギってこの毒知ってなくね?

 それじゃあ俺が診るっきゃないじゃん。


「………ハギ、『解析魔法』教えるからかけてやんなさい」

「………『解析魔法』? 『鑑定魔法』じゃなくて?」


 そこは後で教えるので今は『解析魔法』に集中しんさい『全属性適性』者。

 一通り魔力を介して『解析魔法』の必要な部分を教える。

 結構時間はかかったが、その分噛み砕いて説明したのでハギでも即興で使える。


「マユリさん。少し手に触れますね」

「ええ………」


 ハギがマユリの手を握り、魔力を『解析』するための魔法に変化させていく。

 ハギの魔力はどんなモノにでもなる魔力だ。

 ギリシャ神話風に言えば、魔力とは秩序になる前の混沌………まあそれはどんな人の魔力にも謂えることなんだけどな。


「『毒解析』」


 ハギの魔法が発動する。

 ………しっかし、余剰魔力が多いな。

 まぶしい。

 まあ魔法自体は発動しているし初見ということもあるから及第点。

 もう少し魔力の制御を頑張ろう。


「………毒はもうほぼありません」


 ハギが解析結果を口にする。


「それじゃあ、後数日は無理に体を動かさないようにしてください」

「そうだな。特に激しい運動とか大きな声を出したりは禁止。

 ヨミとカレンもマユリさんが無理しないよう支えてやれ」


 俺の言葉に頷く二人。

 うんよろしい。

 まあ二人も無理せんように。

 特にヨミ。お前さんはもう少し気楽に生きた方がいいぞ?


「何から何まで………本当にありがとうございました。

 母さん。ケイさんとハギさんを送ってくる」


 俺達が立ち上がると、ヨミが見送りに玄関まで来てくれた。

 カレン? 今もマユリさんの隣で寝ているよ。


「それじゃあな。ヨミ。また何か縁があったら」

「バイバイヨミくん。カレンちゃんにもよろしく」

「はい。本当にありがとうございました」


 ヨミが深々と頭を下げる。

 ………どうかカレンは純粋に………育ってくれ。

………執筆時間がないデス。

妄想はガンガンできるのに時間がないデス。

次の更新は四月中にはしたいと思っています。

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