第118話 『運』って一体…………。
「――あ~、そこを右。そして………」
現在御使い中なのだが、嫌な予感しかない。
というか、あの薬屋の薬普通に『毒』なんだよな。そしてどうやら、『隠蔽』スキルの付与された包みでも俺の『透視』と『毒物解析』は弾けなかったな。
そんな訳で、俺はそんなヤブ医者の被害者の家族の家に着いた。
着いたのはいい。
普通に借家なのだろう。
しかし、だ。
俺は俺の目を疑い、一度目を閉じ、再度見開く。
そこには――
「早く未払いの先月の分を払わないかい!」
「ごめんなさい大家さん。明日、明日には必ず払いますから!」
――大家さんと口論する少年がいましたとさ。
いや、なんじゃそら。
それに少年は普通に見てるだけで分かるほど強力な『呪い』に蝕まれているし。
もしかしてここ………あれか? 数あるスキルの中でも兎に角最悪なスキルにして俺が転生初期から持っていた、俺命名『三種の悪スキル』を――『不幸』『悪運』『凶運』のどれかを持っているというのか?
俺は少年に罪悪感と少しの同情心を覚えながら、大家さんとの会話が終わるのを待つ。
「明日明日って………昨日も同じことを聞いたよ!」
「すいません! すいません!」
………いや流石に不幸すぎるだろ。
親は病に伏せ、大家さんに金は支払えないし。
まあ俺の場合、俺が他人の視界に入った途端に責められて罵詈雑言プラス石または武器という精神的にも肉体的にも辛い経験をしたが。
その時には『不幸』『悪運』『凶運』のスキルは揃ってたな。
ちなみに対処方法は『幸福』『好運』『強運』のスキルを入手することだが、このスキルは後天的入手が困難なスキルなんだよな。
まあダンジョンとかの報酬で授けられたらラッキーくらいに思えばいいだろ。
ちなみにダンジョン内での『不幸』『悪運』『凶運』の効果は『モンスターを誘き寄せる』効果と『トラップにはまりやすくなる』効果。そして『モンスターハウス遭遇率上昇』というラッキーなのかアンラッキーなのか分からない効果がある。そしてそれは『幸福』『好運』『強運』も同じという………何故分けたのか、一体なんお意味あるのか………わからんなぁ。
ところで話は大きく変わるのだが、俺はこの状況でどうあの少年に荷物を届ければいいんだ?
俺、会話とか全部スキル任せだけど性格的な意味で人に話しかけるのは苦手なんだが?
いやまあ、親しい仲の者なら話は別だけど。
■■■■
私は今、何をやっているのだろうか?
何故か私の横には、笑顔で鼻歌を歌いながらあるく少女がいる。
私の勘が告げている。この子は美人に育つと。
光を反射している明るい青の髪に同じ色のぱっちりとした瞳。そしてなりより、バランスのいい配置。
いやまあ、それが何だって話だし、何故こうなったのか、一度振り返ろう。
私が一人『冒険者ギルド』を探していると、見知らぬというか一人涙目でうつ向いている少女を見つけた。
その少女に『大丈夫?』と話かけ、お話してしまったのが運の尽き、または幸運か。私は美少女獣人――カレンちゃんと一緒に彼女の家に帰るところなのだ。
…………え? ケイを探せ? 迷子になったのは私じゃないし (責任転嫁)。
それに『急がず焦らず巻き込まず』。これが心情であり『巻き込まれ体質』のケイだから、きっとどこかで事件を起こしてくれる。
そんなブーメラン発言はさておき。
私の直感は結構当たる。
嫌な方向にも良い方向にも。
そんな勘が急ぐ必要はない。と言ってるから、別に急ぐ気はない。
決して面倒だからではない。
カレンちゃんが心配だからだ。
とはいえ、道案内を頼んでいるのは私ですけどなにか?
「ハギお姉ちゃんハギお姉ちゃん! ここを左に曲がるんだよ!」
「そこがカレンちゃんのお家?」
「うん!」
はぁ………本当に良い子だなぁ………それに『お姉ちゃん』って、私の事を『お姉ちゃん』って!
一回呼ばれてみたかったから、願いが叶っちゃった。
………とはいえ、私とカレンちゃんはその道を左に曲がる直前で、ピタッと止まる。
そして私はとっさに『偽装』スキルを発動して、私とカレンちゃんを隠す。
「早く未払いの先月分を払わないかい!」
「ごめんなさい大家さん。明日、明日には必ず払いますから!」
………うん。本当にどうしよう。
そして近くに見たことのある人がいるんだけど…………。
復活しました。
状態異常という名の緊張、その緊張からくる吐き気そして食欲減退を乗りきり、別の状態異常 (花粉症)にかかりながらの復活です。………復活は復活でも完全復活できないだけです。
まあ言い訳みたいですが、最近執筆していなかったので結構筆も進まず、昼から書いているのにたったこれだけの文しか書けないという私の小説の駄文さ。
まあそれはさておきです。
次回の投稿は土日中には行いたいと思っています。