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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第三章 長期休暇を使った旅行
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第110話 いざ出発――

 翌朝。

 俺とハギは街を出た。

 移動は徒歩――と言いたいところだが、まあ疲れるので、ハギに『契約魔法』の説明をしながら歩く。

 何故ハギに『契約魔法』の解説をするのか。それはハギが『契約魔法』に適性がある癖に一切使ってないからである。

 今回は『契約魔法』の一つである『仮契約』という魔法で足を調達する。

 幸いまだ街からそこまで離れていないので、魔法への耐性のないモンスターも多くいる。

 ハギほどの魔力があれば『支配』も容易いだろう。

 そんなハギが契約したモンスターは『森狼』の名称で親しまれている初心者への試練の魔物。

 ちなみに冒険者に成り立ての者にとっては強敵だろう。


「………なんで狼?」

「速そうじゃん」


 いや、確かに速いが…………。

 俺は認めたくないけど動揺した。

 ってか、なんで狼? 確かに速いし察知も得意だけどさ…………。

 俺は素手で木を引っこ抜く。

 その引っこ抜いた木の代わりに苗を植えて『時空魔法』やら『植物魔法』やらを使って、苗を急激に成長させる。


「うわぁーすごいなー」

「棒読みやめい」


 俺は魔法を駆使して木を切断したり、形を整えたりする。

 そして持っている布やらを使い荷台を作った。これで移動手段(あし)も入手できたな。

 俺はハギが『契約』してきた狼に街で買った道具を着けていく。


「ちなみにどんな『契約』なんだ?」

「私が貴様を従えている間は強力な力を与える」

「そうか」


 だからさっきから『付与魔法』使ってるのね。

 ってか、発想が吸血鬼じゃね? あ、吸血鬼だったな。

 そもそもなんで吸血鬼に転生したの? 未練があるの?

 そんなことを考えながら装着を終え、荷台に乗る。

 うん。木の匂いが漂っており、いかにも出来立て感のある荷台になった。出来立てだけど。


「んじゃあ頑張れよ御者」

「丁寧に御者台まで設置してるもんね………はーい。がんばりまーす」


 嫌そうだなぁおい。

 まあハギしか動かせないので、渋々といった感じで御者台にのって狼を走らせ始めたが。

 ちなみに目的地は『獣人の大陸』こと『パセティック大陸』に向かっております。


 ってか、なんでそんな『契約』なの? もっとあったでしょ? 『足になってもらう代わりに餌やるよ』とかさ………おんなじか。じゃあいっか。

 まあ荷台の乗り心地は普通だ。

 そこまで揺れるわけじゃないし。


「ケイ。魔物がいる」

「ほいほい」


 俺は魔物を威嚇する。

 もちろんスキルでだ。『威嚇』とか『威圧』とか『精神魔法』とか使って恐怖させ――あ、失神した。


「よし。終了」


 ハギが呆れた様子で俺を見ている。

 いいじゃない。襲われなければ。

 ちなみに魔物である森狼は一般的に使われている馬よりは速い。

 しかし馬車などを引っ張るのには適さない。


 まあ道具つけたり何なりと準備すれば、走れなくもない。

 その準備をきちんとしたのが今回の馬車。

 狼に魔導具めっちゃ着けたからな。


「ハギ。『付与』は俺がやるから、操るのに集中しろ」

「うん」


 ハギの魔力が乱れてきたので、そろそろ俺はハギを手伝う。

 ちなみにハギは『付与魔法』の『身体強化』と『敏捷強化』そして『知覚強化』を使っていた。

 どれも初級の魔法だが、それよりも『多重付与』と『契約』を同時に使うことで消耗が激しかったのだろう。

 そもそも『多重付与』は難易度の高い技術だし、維持も大変だ。

 そこに『契約』の制御も必要………大変だな。手伝えばよかったわ。


 俺はハギに『魔力制御強化』と『魔力増幅』を付与。

 狼には『身体制御強化』『視力強化』『身体強化』『敏捷強化』を付与する。

 ちなみに『付与魔法』には『強化』と『弱化』の二つがあり、『強化』は仲間に。『弱化』は敵に行うのが一般的に付与術師と呼ばれる人の仕事だ。

 まあ稀に自身に『付与魔法』を施して戦う奴もいるが。

 そもそも『付与術師』になるのも難しいのだ。


 まず必要なのは魔力制御力。

 これが無ければ魔法は使えない。

 そもそも特大魔法――上級魔法なんかは制御力が足りてないと誤爆する可能性もある。

 まあ『付与魔法』は初級でもそのリスクがあるのだが。


 それを乗り越えたら、次の壁は魔力浸透力。

 この浸透力がなければ、他者に付与を行う事は出来ない。

 精神力が高い奴に『精神魔法』が効かないようなもので、この『浸透』に適性がなくて『付与術師』というパーティーの補佐役を諦めソロで冒険者を行った鍛冶を行わない今ではギルドマスターをやっているドワーフもいる。

 まあ自身にかければ『付与』は強いからな。結構なところまではいける。

 そんな『付与魔法』には、ある欠点がある。

 それのお陰で結構『付与術師』は減った。

 まあ対策もできる欠点だけど、『付与魔法』は使った後にもリスクがある。


 例えば『身体強化』を使ったとしよう。

 ちなみに『付与魔法』の『強化』は強化率が高い。

 その分使用後は節々が痛くなったりする。

 勿論無理な動きをしなければいいだけだし、幸い『回復魔法』も有効。

 そして無理な動きをしたいなら『保護』を付与するか『痛覚弱化』『疲労弱化』を付与すればいい。

 まあ『疲労弱化』はおすすめ出来ないが。


「ケイ! 付与が強すぎ!」

「いや、ハギと同じ強さの付与だぞー」


 使う人によっても効果は変わる。

 それは『浸透』が原因だ。

 ハギはどちらかというと『浸透』が苦手だ。

 もちろん出来る。だが、出来るがそこまで得意ではないのだ。

 ちなみに『浸透』にはコツが必要だ。それさえ掴めばハギの付与も効果が上がる。


「本当かなぁ………?」

「本当だぞ」


 そんな話をしながら、馬車――いや狼車は結構なスピードで舗装された道を走り、夕方には『パセティック大陸』に近い村の近くまで来れた。

 そして次の日、ついに『魔族領』を出て『獣人領』に到着した。

お疲れ様でした。

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