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100回目の転生で精霊になりました  作者: 束白心吏
第三章 長期休暇を使った旅行
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第109話 捕縛した。安全第一で

「さて………終わったぜ。プーアさん」


 俺は拘束しているプーアに向けて言う。

 モンスターは全て倒され、あのえげつない魔法以外で殺したモンスターはハギによって燃やされている。

 んじゃあ俺も燃やしましょうかね。火葬火葬。


「……恐ろしい奴じゃ」

「お前のような考えの人の方が恐ろしいわ」


 俺は燃やしながらプーアと話す。

 ちなみにプーアは『過激派』と呼ばれる集団の幹部の一人。

 まあプーア以外にも数人幹部はいるし――あら?


 俺の『索敵』に数人の気配が現れた。

 急に範囲内に現れ、ここに迷いのない足取りで歩いてきているので、彼らもまた『過激派』の人または幹部に近い人だろう。


「………残念だったな」

「何がだ?」


 プーアは笑う。

 まだ()()があるかのように――ああ、そうか。

 驚きが大きすぎて『耐性』スキル発動圏内になり、俺は逆に冷静になる。


「今ここに近づいて来ているのは『過激派』なのか」


 俺はプーアに向けて言う。

 プーアは「そうだ」というように、笑みで返す。

 まったく、笑えない話だ。


「貴様の言った通りさ。今この場所に『過激派』が全員集まってくる………いくら貴様が異常な存在であろうと、我々全員には勝てまい」


 プーアは笑う。

 そうか、俺とハギははめられたのか。

 そう分かっても、特に絶望する必要もない。

 ハギなんて「あ、そうですか」みたいな表情で死体焼いてるし。たぶん俺もおんなじような表情してるだろうしな。


「………気に食わんな。何故余裕そうなのだ?」


 プーアの癪に障ったのか、俺達に聞いてきた。

 いや、俺もハギも答える気など一切無いし、逆に「は? アンタも余裕綽々な顔してたじゃん」見たいな表情というかそのものですね。はい。

 ってか早く来いよ。こっちはもう準備万端なんですが?


 暇なので、少し雑談をする事にした。


「ハギ。燃やし終えたか?」

「うん。血もばっちり回収したよ」


 よし。これで万が一の備え――というより、戦の準備は整ったんですが?

 そしてハギ。容器を造るからその血をしまいなさい!

 そんな訳で『錬金術』のスキルとそれに関連する魔法を使う。


「ほれ、この中入れとけ」

「あ、ありがとー」


 ハギよ。もう少し弟子らしく振る舞えよ。

 いや、元々だけどさ。

 俺は渡しながらそう思った。

 プーアを無視して平常運転で。そしてハギが片手で簡単に持てるくらいの大きさの容器 (『空間拡張』付与済み)に全ての血を入れ終わった時。丁度奴らは到着した。


「まったく………遅くね?」

「遅刻だねー」


 暖気に。しかし、挑発するように、奴らにしっかりと聞こえるような声で言う。

 奴らはフードを被って顔が見えにくいけど舌打ちして「殺れ」とか物騒な事言ってるんですけど。

 その直後、俺を目掛けて魔法の雨が降り注ぐ。魔力は八人分感じられ、全員が魔力の隠蔽をしていない。


「うわー。暑いし寒いしなんなの?」

「………いや、少しは痛がろうよ。痛がってあげなよ………」


 ハギは非難の声を上げる。

 知らん。そもそも敵だから遠慮はせん。演技もしない。

 そして煙うざい。なんなの? 嫌がらせ? ですよね。


 俺は風を作って煙を払う。

 うん。まだプーアは上空から驚愕の表情をしておるし、何故か一人あの空間の破壊を試みた奴が失敗しておる。

 まだまだ未熟よのぉ。

 俺は周囲に結界を張る。

 これで彼らは逃げられない。

 そもそも逃がす気も無かったし、いい加減お縄につけ。そして牢獄で反省しなさい。


「………お前ら、そろそろ我を助けよ」


 プーアは固定が鬱陶しいかったのか、命令口調で彼らに言う。


「無理だ」

「無理」

「無理です」

「できない」


 全員ができない。

 って、え? いやいや、まさかそんなバカな? おかしくね? 一応魔力がS以上――あら。視たところ全員魔力がSじゃん。手抜きかよ。

 プーアは唖然とし、俺が彼らを呆れている中、先ほどまで後ろで様子を見ていた黒フードの一人である『炎使い』が炎を放つ。

 良い炎だが、Sランクとしては物足りない。

 俺は彼と同じ炎で炎を相殺する。

 ちなみに炎は物凄い勢いで放たれるが、魔力の動きさえ見れば威力の推測は容易い。

 それが魔力を隠していない者なら尚更だ。


「あのー。そろそろ会話しませーん?」


 俺は呼び掛ける。

 しかし返事の代わりに魔法の雨が降ってくる。

 やっぱ威力がイマイチだなぁ………。


「【消えろ】ってか大半お尋ね者かよ………」


 俺は『呪詛』を呟く。

 得意魔法で全ての魔法を消した俺は、彼らに近づいていく。

 彼らは逃げようとするが、もう遅い。結界に阻まれる。

 ちなみにプーアはまだ上空に固定されており、現在うんざりした表情で俺達を観ている。

 なお、お尋ね者は『ザミ・ノーン 魔物使い』『アスト・ロベシ 暗殺者』『ホバ・コンセ 空間魔法使い』等々、様々な奴がいた。


「お話ししましょうぜ? どうせ俺には勝てないんだから」

「黙れ」


 魔法が放たれる。

 確かに近距離で魔法を放てば、俺に傷の一つでも与えられるかもしれない。

 ハギなら与えられるだろう。拓哉達は無理だ。

 あと、たぶんライアもいけるはず。それと我が家で鍛えられたモンスター達も………微妙かな。


 俺は放たれた魔法を受ける。

 放たれた魔法は鎌鼬。しかし一切アレンジもなにも加えられていない鎌鼬は、俺に当たって消えた。


「何故」


 放った者が声をあげる。

 いや、弱いだけだ。お前の技術力の無さが問題だ。

 俺は鎌鼬を放つ。

 先ほどの鎌鼬とおなじように。何も工夫も凝らしていない。ただの鎌鼬。


「グブッ」


 鎌鼬は彼の腹を抉り、後ろに貫通していく。

 後ろからも悲鳴が聞こえた。

 あら、案外脆いな。

 想定外の結果に、思わず唖然とする。


「で? 会話する気――」

「投降する」


 早。全員切り替え早っ。

 まあ俺は全員を――プーアも含めて捕縛。

 負傷しちゃった奴は『再生』させて、その後全員に『麻痺』と『睡眠』をかける。

 そして外部からしかほどけない不思議な縄で縛り、全員に『魔力封印』をかけた後、オデットの街中に『転移』(ポイ)捨てする。

 まあ起きる頃には牢獄だろ。


「うわー容赦ない」

「いや、結構優しい捕縛だろ?」


 俺達は『転移』で宿に戻った。

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