第11話 お引っ越し
俺とライアは、屋敷の引っ越し準備をしていた。
と言っても、特にやることはないけどな。
家の外に出るまでの間に、俺の全事情を説明した。
そして俺は『時空魔法』の『異空間収納』(四次元○ケット)で、まるごと家を収納。
そのままハギの家の庭に転移した。
■■■■
ハギの家の庭はあまり広くない。
いやまあ俺の普通と世間の普通は違うし、ハギはこの世界では普通くらいの大きさだと言っていた。
普通一軒家が入るくらい大きい家のほうが異常だし、そこまで広くないのが普通だけど。
そんなハギの家の庭に転移。そこを通って、俺達は玄関へ向かった。
家に帰って最初に見たのは、ハギの泣き顔だった。
何故泣いているんだ? 俺は置き手紙も書いたはずだ。
なにか悪いことしたっけ? てかライアよ。微笑ましそうな顔するな。
彼女に話を聞こうとしても、なかなか口を開いてくれなかった。
そして自室に引きこもってしまった。
まあ、面倒ごとはあとでいっか。
俺は相談のために、ハギのもとへ向かった。
■■■■
俺達はハギの部屋にいた。
ハギが部屋に引き込もってしまったため、俺の力で無理やりドアを開け、無理矢理話を聞いてもらう事にした。
「ハギ、『王都』にいい土地ない?」
「…………は?」
彼女は、間抜けな声をだした。
ん? 俺、何か変な事言った?
「……マスター、いきなり本題に入るのはどうかと思うのですが? そもそも、そんな事にも気がつかなかったのでございましょうか? ………ああ、すみません。ただのコミュ障患者でしたね。重度の」
結構ライアの言葉が俺の心に矢のように突き刺さる。
笑顔で言われていて、ダメージ倍増 (10倍くらい)する………。
まあ、分かっていましたよ? いや、ホントだって。
……仕方ないじゃないですか! 何か話題ありますか? ないでしょ? コミュ障患者だもん! 引きこもりなめんなよ! 会話以外なら何でも出来るぞ! 会話にできそうなことがないんじゃもう、本題言うしかないじゃん!
っていうか、ハギが王都行ったことあるかも知らねぇで何言っちゃってんの? 俺。
バカなの? 死ぬの? 死ぬんでしたらお早めに土に還れ。
「ん~、何処から説明すればいいのやら……」
ライアの言葉に抉られた、心のダメージを負いながらも、俺はハギに全て話した。
わかった事は、やはりそういう事は自分で決めた方がいい。
それと、急に本題から話を始めちゃダメ! これ、一番重要! 困惑させない! まあ無理だけどな。
てなわけで、少し王都に行こう。