第104話 洞窟って………ある意味簡単に処刑場になるよな
さて、魔法で盗賊のアジトもわかっているのだが………まあこのまま崩したい。
あいつらは何なの? ってか、盗賊は洞窟が好きすぎだろおい。
盗賊は木々の生い茂った森の中、山の麓の洞窟にアジトを作っていた。
あらら? どこかで聞いたことあるぞ? まあどうでもいいけど最近ここら辺に住み着いた人達なの?
俺は洞窟の目の前で、洞窟の中を把握する。
洞窟の内部は………うん。蟻の巣穴を想像しよう。
それが上にも下にも続いていてな………。
まあまだ出来たばかりで人質も奴隷も居ない。
いるのは盗賊のリーダーとその配下的な奴らのみ。
殺るなら今ってことだな。
「おっし………気合い入れていきますか《霊体化》」
俺は生身の身体と魂を切り離し、霊体となった。
そして俺の死体? 肉体? を『異空間』にしまう。
さて、やりますか。
俺は洞窟に入り、入り口を大岩で塞いだ。
これで誰もあの入り口からは逃げられない。
まずは細かい調査から始める。
いくら『空間把握』の魔法使っても、やっぱ分かりにくい通路ってあるからな。
確認は大事だよな。
俺は気ままに探索する。
現在――っていうか人の少ない場所では『察知』系スキルを常時発動している。
その『察知』スキルの範囲ギリギリに、複数の人間の存在が確認できる。
これは先ほどの盗賊達だ。なんか中心? というかなんかボスと部下が簡単に分かるような並びをしているから間違いなく盗賊なんだけど…………。
「なんで悪役って上を好むの? 煙なの?」
なんか洞窟の最奥の最上階で溜まってる盗賊。
どうやら盗賊の中に天才的な『土魔法』を使う者がいるようだ。
魔力の痕跡も辺りにあるので、それは明らかだろう。
まあ一旦盗賊は放置。
この状態でも姿は見えるからな。
俺は盗賊のいる位置とは真逆の下に向かって降りていく。
ちなみに俺は『通り抜け』という幽霊とかが使えるアレも使える。
しかし使うと肉体に戻った時くらいの疲労感が襲ってくるので使えない。
結構欠点の多い精霊なんだよ。俺って。
まあ暗い洞窟を火も無い状態で降りていっている奴が何「欠点多いなぁ」とか愚痴ってんだよって言うセルフツッコミはさておきだ。一体どんだけ掘ったのよ。下層適当に回っただけでも十数人は住めるぞおい。
続いて上層? ってか洞窟に上層とか下層なくね? まあ地上洞窟地下洞窟でいっか。地上洞窟探索を始める。
地上のほうはただただ一本道で、これはもう「通ってください」と言っているような物だった。
一体あの地下の迷路はなんだったんだよ? まあいいけど。
俺は『隠密』スキルを全部発動させながら盗賊の集まっている場所へ。
ちなみに外では盗賊が出入口を探しています。
彼らも入れちゃうか? どうせなら一気に殺るほうが楽だし。
そんな事を考えている内に地上洞窟の最奥に到着。
「!? だ、誰だいアンタ!」
おや? なんでか盗賊の頭が女だった。
まあステータスはこの中で一番強いけどさ………あ、『隠密』スキル切れてた。ま、いっか。
俺は振り向いて戦闘準備万端な盗賊さん達と相対する。
「どうもどうもー。偶然通りかかっちゃった『魔導師』でございまァす」
俺は一礼し、ついでに外で困惑していた盗賊を持ってくる。
「!? い、一体なにが………」
「す、すげぇなぁオイ…………」
ちわーす。凄い魔導師な黒谷啓どぇーす。よろしく。
「んじゃあまあ人もいたので帰りますねー」
「アァ? 何言ってるんだい? 帰すわけが無いだろう?」
YES! その通り! 俺はお前達を逃がしません。責任もって冷たい体にしてやりまっせ。
「アタシ達『鬼の金棒』に喧嘩売ったこと………後悔させてやるよ」
うん。後悔するのはお前らじゃい。ってかそんな名前だったの。そう思いながら俺はこっそり魔法を使う。
実は地下方向に向かった理由は探索ではない。
魔方陣を仕掛けにいったのだ。
俺はその魔方陣を起動させる魔法を使う。
直後、この洞窟内限定で地鳴りが響きはじめる。
「!? 次はなんだい!」
「姉御! 逃げましょう!」
今更ながら逃げようと盗賊達はこぞって出入口に走る。
あらら、自ら寿命を縮める行為を………。
俺も後ろから追いかける。
どうせ俺は『転移』で逃げられるしな。
盗賊達に追い付くと、もう皆さん諦めてました。
「おーい。皆さーん? なんか水が溢れてきてますよー?」
わざとらしく俺は盗賊に言う。
勿論盗賊達の顔はひきつり、今度は先ほどの場所に戻ろうと走り始めた。
しかし残念な事にどこかの精霊のせいで最奥までの道は塞がれておりましてね?
「も、もう終わりだ…………」
姉御さんがそう呟く。
あ、盗賊また来ました。
「追加人員入りまーす」
俺はスタッフのように盗賊を招きいれる。
そんな俺を眺める盗賊達。俺の横には新たな盗賊。
ようこそ死地へ! ここは貴殿方のお墓となるでしょう! 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。
あ、水が足元まで来ちゃった。んじゃあここらでドロンしましょ。
俺は『転移』で洞窟を出る。
外はまだお昼前。『霊体化』の影響で身体が重たいが、まあ暇潰しにはなる盗賊討伐だった。
思いっきりふざけることが出来た………
(没サブタイトル『地球以外の世界に自殺の聖地はほとんど無い。しかし無いなら作ればいいだろう?』)。
どうも、一週間ぶりです。今回は思いっきりふざけ書きました。
きっと後悔と共に改稿するであろう未来の自分が目に見えております。
しかしまあ彼らはまた出てくるかも? もしも『洞窟』『盗賊』と出てきたら彼らかもしれませんよ。
次回は内容の予定としては『ハギとケイの合流』。更新は一週間以内に行いたいと思っておりますが、年末なので少しそこは微妙です。
できれば今年中にもう二、三話書いて投稿したいと思っております。
長文後書き失礼しました。
では、また次回。