第98話 やはり弟子って師匠に言動が似るのか?
夕方、綺麗な夕陽が眩しい。
そんな時間に、俺とハギは宿屋を探して彷徨っていた。
え? 野宿? それは最終手段。
まあ絶対に見つけ出すけどな。空いている宿屋。
もうボロくてもいいからカモーンな状態ですよ? どうせ一部屋しか使わないし、ボロ宿だったら無償で修理も致しますけどどうします?
まあそんなボロ宿が都合よくあるわけが無い。
まあなんとか俺とハギはオデットの隅の方にある民家風宿で一夜をあかすことが出来た。
「――さて、まずはハギ。お前、これ解る?」
宿屋にて、俺はハギに昼間買った魔法書を見せる。
それにハギは首をかしげた。
「うん。無理」
「諦めるなよ………」
まあそう簡単に理解されたら――嬉しいかもな。
これ、少し面白い仕掛けだし。
俺は机の上に魔法書を置く。
そして、ハギを椅子に座らせた。
「じゃあ夏休み終了までに、その魔法書を解読できるようにしようぜ?」
「うん。無理」
きっぱり言うなよ。
俺は堂々と言い張る弟子をある意味尊敬しよう。
そういう所だけが俺に似てきてるなぁおい。
「いや、俺も少しはヒント出してやるから。始める前から諦めるな」
「…………は~い」
訂正、尊敬しない。
コイツ、ただ単に面倒くさいことしたくないだけだわ。
■■■■
「んじゃあまずは、この魔法書開け方な。表紙を見ろ」
骨董品とは思えない、綺麗な表紙。
しかし描かれた模様は不思議で歪で――まあこれはわかってくれや。
「………何これ? 『保護魔法』がかけられてる」
「いや、そこじゃなくてな? 表紙見ろ表紙」
確かに『保護魔法』が恒久付与されているが、それは今はどうでもいいから。
まずは表紙の謎を解けっての。
その後数分かけて、謎の説明をする。
そしてなんとか、これが『パズル魔法陣』という面倒な仕掛けの表紙という事を理解させた。
「え? じゃあこれを解けば読めるの?」
「残念だが、そう甘くないぞ? この魔法陣を完璧に理解しないと、この本は開かん」
ちなみに理解したかしてないかは魔法陣が判定する。
まあまずは魔法陣を作ろうか。
このパズル魔法陣は、地球のパズルでは『スライディングブロックパズル』に分類される。
「この魔法陣――まあ頑張れ。飽くなき探求心さえあればなんとかなるさ」
「最初から見捨てたよこの師匠」
いや、そこは自力で解けよ。
楽しいパズルだから、俺も別のパズル (魔方陣の絵ではない。ただの娯楽用品)を解く。
しばらくの間、ハギが机にうつ伏せに倒れるように寝るまで、俺は骨董品という名のパズルを解きまくっていた。
本文に出てきた『スライディングブロックパズル』の詳しいことは、wiki様に。
めっちゃ面白いので、一回やってみては?
まあそんな私の趣味はさておき更新完了。
明日の投稿の可能性は低いですが、書き終わり次第投稿いたします。