モブだって頑張ってるんです。
モブが主人公です。
執筆は初めてなので、手探りではありますがちまちまと書いていきたいと思います。
オレの名前は、山田 太郎。
至って平凡な名前だ。
名は体を表すとはよく言ったもので、突飛な才能なんてありゃしない。
最初から才能があって、皆からちやほやされて、なんていうのは漫画の主人公だけだ。
──現に、オレの隣の机には今日も人集りが出来ている。
男子からは部活の勧誘、女子からは放課後デートの誘いが飛び交っている。
その男の名は、一ノ瀬 昴。
文武両道、眉目秀麗という言葉は彼の為に存在しているようなものだ。
非の打ち所なんて何一つない、まさに『漫画の主人公』である。
元々地味だったが、席替えで隣になってから更に影が薄くなった。
これで性格がクズだったらまだ憎めたものを、それすらイケメンなのだから劣等感が凄まじい。
例えば、授業中で当てられたオレに答えを教えてくれたり、消しゴムを忘れたら自分のを分けてくれたりする、そんな奴だ。
ただ、オレは善意を悪意と受け取ってしまいがちで、まともに感謝も出来ないクソ野郎だ。
ぼそっと礼を言えば、彼はにっこり笑ってどういたしましてと返してくれる。
これで一ノ瀬が女だったら、確実に惚れてたんだが……現実は厳しい。
高校二年、隣になった奴は超イケメンでした。