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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:01 誤解
7/32

Episode:07

「これでだいじょぶ? 椅子遠くない?」

「だいじょぶです」

 そんなやり取りを横目に、ほかのメンバーもテーブルに着く。


「イマド、そんなに……食べるの?」

 同級生の昼食の量を見て、ルーフェイアが目を丸くした。おそらく二人前は、ゆうにあるだろう。

「ふつうだろ。てか、これじゃたぶん足りねーし」

「え……」

 同年代の子をあまり知らない少女には、かなりのインパクトだったようだ。


「つか、お前が食わなすぎだって。そんなんで夕メシまで持つのかよ」

「イマド、お前とルーちゃんを同じにするなよ。かわいそうじゃないか」

 すかさず外野が茶々を入れる。

「オマエ図体デカいから、そのぶん食うもんなー」

「るっせ」


 軽快なやり取りのあいだで、少女は楽しそうだ。ロアが見るかぎり、ルーフェイアはこの男子たちとは、上手くやれている。

 しゃべりながらの、昼食の時間が始まった。つまらない話でしらけてみんなから突っ込まれてみたり、おかわりをしに行ったりと、なかなかにぎやかだ。


「あー、オレ今学期のテスト、ヤバかったんだよな。マジ勉強しないと」

 たあいない会話の中から、唐突に深刻なものが飛び出す。

「たいへんだな、頑張れよ」

 イマドは他人事だ。たしか彼は入学してからずっと、学年のトップを独走している。だからテストなど、どうということもないのだろう。


「テスト……悪いと、ダメなの?」

 ルーフェイアが、不思議そうな顔をした。

「あーそっか、ルーフェは知らないか」

 学院へ来て日の浅いこの子に、ロアは説明する。


「こないだテストやったでしょ? あの成績の総合で、翌年のクラス分けが決まるんだよ」

 この学院は全体的に、生徒の自主性を重んじる。だがそれは同時に、生徒たちに相応の責任も負わせるものだ。

 勉強しろとは一言も言わないが、成績が落ちれば容赦なく降格する。規律も守れとは言わないが、破れば即ペナルティーが課される。


 しかもこれらが積み重ねれば、強制退学だってあり得るのだ。だから、どの生徒も必死だった。

 だがこの少女は、まだよく分からないようだ。

「クラス、分け……?」

 きょとんとした表情で、首をかしげている。


「えーっと、これでダメだと、どう説明すればいいのかなぁ」

「先輩、放っといたってそのうち、イヤでも覚えますって」

「それもそうか」

 この子が学院へ来てから、まだいくらも経っていないのだ。焦ることもないだろう。



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