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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:01 誤解
6/32

Episode:06

「わわわ、ルーフェ泣かないで! ゴメン、ちゃんといっしょにご飯食べるよ!」

 苛酷な環境から抜け出したばかりの少女は、まだかなり情緒不安定で、ちょっとしたことで泣き出すのだ。

――単に泣き虫の可能性もあるが。

 どちらにせよ、このまま泣かせておくわけにはいかない。


「と、ともかくホラ、いっしょに食堂行こ」

 慌てて手を引いて食堂へ向かおうとすると、一瞬ルーフェイアが、クラスメイトのほうに視線を向けた。

(なるほど)

 さすがにこんどは、この子の望みがロアにも分かる。


「ほら、そこの3人! キミたちもこっち来て、いっしょにご飯食べなさい」

「へ? オレらっすか?」

 そういうつもりはなかったのだろう、彼らが面食らう。

「オレら、食堂までいっしょに来ただけなんスけど……」

「こらこら、先輩の言うことはきかなきゃダメだろ。ルーちゃんとご飯食べられるなんて、うん、大賛成」

 このあたりはいっしょにつるんでいても、温度差があるようだ。


「けどなぁ……」

 今ひとつ煮え切らないクラスメイトの前で、ルーフェイアが悲しそうに視線を落とした。

―― 一撃必殺。

「あー分かった分かった、いっしょに食うから泣くなっての」

「そそ、ルーちゃんだいじょうぶ、心配しなくていいからね」


 エレニアが、やれやれとため息をついた。

「まったく、みんなルーフェイアには弱いわよねぇ」

「そう言われてもさー」


 なぜと問われたら困るのだが、この子を見ていると、守ってやらなければならない気がしてくるのだ。年より小柄で、性格も幼いせいかもしれない。

 そんなルーフェイアを真ん中に、ぞろぞろと食堂へ移動する。


 シエラの食事のメニューはシンプルだ。日替わりで朝は一種類、昼夜は二種類のセット物、あと飲み物がお茶など何種類か。ただおかわりは自由だし、味もけして悪くない。

 何よりここに来る子の多くは、満足に食事もできなかった時期がある。そのせいもあって、タダでお腹いっぱい食べられればとりあえず十分、という子がほとんどだった。


「ルーフェはさっぱりセットだね」

「あ、はい」

 選んでやり、そろえてやり、席を取ってやり、重そうなら代わりに持つ。孫に甘い祖父母もかくやというほどの、可愛がりぶり過保護ぶりだ。


「ルーちゃん良かったね、先輩にすごく可愛がってもらって」

「いや、なんつーか、可愛がりすぎだろ」

「そうよねぇ、私もちょっと心配で」

 うしろでエレニアはじめ、一同のそんなつぶやきが聞こえたが、ロアは気にもしない。



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