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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:01 誤解
5/32

Episode:05

◇Loa side

「ルーフェ遅いな、何してんのかな、教室まで見に行こうかな」

「落ち着きなさいよロア」

 うろうろと歩き回る同級生を、エレニアがたしなめる。

 午前のカリキュラムが終わった昼休み、広いはずの食堂はこの外から見える部分だけでも、かなり数の生徒たちでごった返していた。


「そもそもクラスの子と仲良くなって、私たちと食べなくなるなら、そのほうがいいって言ってたじゃない」

「それはそうなんだけどさ……」

 そのあいだもロアは、しきりに低学年の校舎へと視線をめぐらせる。


「それにしても、変われば変わるものねぇ。あんなに後輩と相部屋になるの、嫌がってたのに」

「だってあのコ、カワイイんだよ」


 ロアとルーフェイアはクラスはもちろん、学年も校舎も違うので、朝部屋を出ると夕方まで顔を合わせることがない。だが年度途中の入学では、何かと慣れずに困るだろうと、ロアはルーフェイアといっしょに昼食をとるようにしていた。


 もちろん当の本人には、「友だちに誘われたらそっちを優先」と、きちんと言い渡してある。

 だが引っ込み思案なルーフェイアは、まだそこまで行かないようだ。だいたい同じ時間に、いつもここへ来て、ロアたちといっしょに食べていた。


「あ、ほら、来たわよ」

 エレニアが指差すほうを慌てて見ると、たしかにあの目立つ金髪があった。

「あら、今日はクラスの子といっしょみたいね」

「ほんとだ」

 ただ、顔ぶれはロアも見知ったものだ。


「おとなしいのに男子と仲いいとか、ルーフェも面白いなぁ」

 たしかあの子の話では、イマドという同じAクラスの男子に、シエラへ誘われたと言っていた。いっしょに居る中で、いちばん大柄の子がそうだ。

 手を振ると、ルーフェイアが嬉しそうに早足になって、目の前まで来る。


「今日はみんなと来たんだね」

「はい」

 にこにことうなずく――この子のこういう顔はそう多くない――少女に、ロアは少し考えてから言った。


「エライエライ。

 そしたら今日は、ボクたちいないほうがイイね。ルーフェ、みんなとゆっくり食べておいで」

「え……」

 そんなことを言われるとは思ってもみなかった、そういう表情だ。


「先輩、コイツ先輩とメシ食うって、ここまで来たんですよ?」

「けどせっかく友だちと来たんだよ、やっぱりここは、クラスメイトといっしょに食べなきゃ」

 ルーフェイアがクラスの子と馴染めないのは、こうして自分がいっしょに昼食を食べているせいではないか、そんな気がしてならない。


 と、エレニアにつつかれた。

「ちょっとロアってば」

「え? あ!」

 やり取りが悪かったのだろう、ルーフェイアが下を向いて泣きそうになっている。



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