表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:01 誤解
4/32

Episode:04

「ムカツクな〜。お遊びじゃないんだよね」

 ぼそっとシーモアが言った。

「だよね」

 思わず同意しちゃう。


 あたしたちほとんどみんな、帰るとこもない。だから気合の入り方だってハンパじゃないんだから。

 ちなみにあたしは両親がいない。八歳の時に死んじゃった……はず。


 じっさいは、いったい何がどうなったのか説明してくれる大人がいなかったから、今だにわかんない。ただたぶん、自殺したんじゃないかって思ってる。

 だってあたしが小さい頃は会社やっててけっこうお金があったけど、そのうちよく「お金がない」って言うようになったから。


 ともかくある日突然両親が死んだって言われて、家を追い出されて、親戚のところへ連れてかれて。

 でもそこ、どうやってもいいところじゃなくて。たまりかねてその家を抜け出して街をうろうろしてたとき、シーモアに会った。


 彼女のほうはスラムの生まれで、あたしと会った頃にはしっかりストリートキッズしてた。

 家出したあたしがどうにか路上生活できたのは、彼女のおかげ。同い年だけど、巡り巡ってこの学院へ来るまで、ずいぶんいろいろ面倒みてもらった。


 我ながら、苦労してるかなって思う。けどこれあたしだけじゃなくって、学院に居る子って、だいたいそんな感じ。

 でもあの子ったら、そんな雰囲気ない。いつもすっごく楽しそうにしてる。

 きっと帰る家もあって両親もいて、お金にだって困ったことないんだろうな。


「なんか……バカにしてるよね」

「へぇ、ナティエスでもそう思うんだ?」

 あたしがぽろっと言った言葉に、誰かが相槌をうった。


「でもさ、ほんとそうだよね。なんかあの子、チャラチャラしてるし」

「お嬢さんだから、しょうがないって?」

「でもさぁ、もうちょっと考えたっていいんじゃない?」

「そうそう。いっくらカワイくたって、あの性格じゃね」

 みんな、おんなじことを思っているみたい。


「シカトしちゃう?」

「シカトって、いまだって似たようなもんじゃん」

「あ、そうか」

 広がるクスクス笑い。


「そういえばこれ、ミルにも言っとく?」

 誰かが言った。

「ミル? 放置でいいんじゃない? どうせあの子、メチャクチャだし」

「そっか」


 名前の出たミルって子は、すっごい変わり者。悪い子じゃないんだけど、やること成すこととんでもなく常識外れで、周りを振り回す天才。

 だからこういうコトには、さいしょっから人数に入れないほうがイイと思うし。


「世間知らずのお嬢さんには、思い知ってもらうさ。ここがどんなとこかっての」

 シーモアの言葉に、みんなうなずいた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ