Episode:31
「てめぇら離せ! 俺はテメーらとじゃなくて、ルーフェイアと話があんだっての!」
「――イマドぉ、落ち着きなよ。なんかカッコわるー」
「ンなのかんけーねーだろっ!」
ぎゃぁぎゃぁウルサイったらありゃしない。
ルーフェイアのほうは、けっこう落ちついてた。
「――あんた、ケガないのかい?」
シーモアがルーフェイアに聞く。
「あ、うん、だいじょうぶ。
それよりあの、さっき……ごめんなさい……」
「え?」
シーモアが驚く。あたしも驚いた。だって彼女に謝られるようなこと、心当たりないもの。
「だってあたし、さっきひどいこと……言った、から」
「シーモア、なんか言われたの? とゆか、ルーフェイアが言うってなんか珍しくない?」
思わず言ったら、シーモアも苦笑して。
「言われたってホドのことじゃ、ないけどねぇ。あれに限っては、ルーフェイアのほうが正しかったしさ」
「そなんだ」
なのに謝ってるとか、えーっとこの子、もしかしてなんか激しく勘違い?
シーモアが、ルーフェイアのほうに向き直る。
「助けてもらったのは、こっちなんだ。それでいい」
「あ、うん」
見てて思った。要するにルーフェイアって……すっごいおとなしくて、気が弱いだけ?
シーモアに「いい」って言われて嬉しそうな彼女、なんだか小さい子みたいだし。
あんな強くて気が弱いってどうかと思うけど、でもそれで間違いないみたい。だとすると、喋らないのも、イマドたちとばっかりいっしょにいるのも、単純に人見知りってことになる。
――結局あたしたち、なにしてたんだろ?
なんだかあんまりにもくだらなすぎて、笑えてきちゃったり。
あたしたちってばカンチガイしまくりだったっぽいし、この子はこの子で全然違うこと考えてたみたいだし。
何より、あそこでシーモア無視したってよかったのに、わざわざ助けてたし。
シーモアもおんなじこと思ったみたいで、やれやれって顔。
そこへ、ミルが言った。
「ねー、もうそろそろ、こゆのヤメにしちゃえばー? こんなのしてたって、つまんないもん。
だいいちさ、Aクラスの女子ってば、あたしたち四人だけだしー」
彼女の言う通りかも、って思った。
Bクラスにはけっこう女子がいるけど、Aクラスってば今年はこの四人だけ。だからこそ、あたしたちいつもBクラスの子たちと、いっしょにいるんだし。
で、その四人ばっかしが、ホントに仲悪いならともかく思い違いで……ってのも、なんだかなーって感じ。
けど、Bクラスの子たちがどうかなぁ、なんても思ったり。