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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:04 真相
29/32

Episode:29

「あなたがいたら、全力出せない!」

「なっ……」

 絶句するシーモアに、さらに言う。

「せめて、下がって。じゃないと、心中だから」

「――わかった」


 やっと彼女が下がったけど、状況は不利になった。もう気づかれてしまってる。うまく逃げられればと思ってたけど、ムリそうだ。

 飛竜が動きを止めて構えたのを見て、とっさにシーモアに体当たりする。

 直後、炎がさっきまで居た場所を駆け抜けた。


「行ける?」

「あ、あぁ……」

 炎を吐かれてやっと、どれほど危険かを飲み込んだみたいだ。

「けど、あんたは?」

「ひとりなら……だいじょうぶ」

 本当はちょっと不利だけど、それは言わなかった。それにひとりの方が楽なのは、たしかだ。


「目くらましで低位魔法、使うから。その間に」

「分かった」

 間をおかず、立て続けに低位の、炎魔法を放つ。

 飛竜の注意があたしに向く。

「早く!」


 シーモアが隙を突いて、回り込むように走った。

――良かった。

 飛竜は彼女に気がついてない。あたしと、あたしの魔法に完全に気を取られてる。

 これなら、あとは崖を登りさえすれば……。


 そのとき、視界の隅に思わぬものが映った。

 崖を降りてくる、三つの人影。

 飛竜を牽制しておいて、そっちに視線を向ける。


――イマド?

 たしかに目が合った。

 彼が「やれるのか」と、問いかけてるのが分かる。

 隙さえ作れれば、あたしがそう思いながら見返した瞬間、彼が動いた。身長の倍近い高さから、一気に飛び降りて、走る。


「こっちだ!」

 大声を上げながら、魔力石をばら撒く。

 そこへ、銃声。絶妙のタイミングで、いっしょに来てたミルが、弾を撃ち込んだ。

 飛竜が完全にそれに引っかかって、イマドたちのほうを向く。

 魔力石が撒かれた場所へ、足を踏み出す。


――爆発。

 次々と石が爆ぜ、炎を上げた。

 飛竜の動きが止まる。

「幾万の過去から連なる深遠より、嘆きの涙汲み上げて凍れる時となせ――」


 すかさず、呪を唱えながら走りこむ。

 飛竜の身体の下へもぐりこんで、手を触れる。


「フロスティ・エンブランスっ!」

 至近距離での発動が、竜族の持つ魔法障壁を打ち破る。

 身体の中から凍り付いて、飛竜は倒れた。




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