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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:04 真相
28/32

Episode:28

「嘘言ってんじゃないよ。あんたが持ってるものなんて、どれも高級品ばっかじゃないか。

――特にその太刀!」

「え?」

 また意味が分からない。


「だって、そうじゃなきゃ……」

 きちんとした武器や装備を携行しなかったら、生き延びることさえ怪しくなる。自分の装備に責任を持つのは、初歩の初歩だ。

 けどシーモアの考え方は、少し違うみたいだった。


「だからお嬢さんだってんだよ!!」

 激昂した彼女が、あたしに手を伸ばしてくる。

 そこから先は、考えるより早く身体が動いた。

 身体を入れ替えてかわしながら、一瞬のちには、あたしはシーモアの首に太刀を押し付けてた。

 動けなくなった彼女を見て、泣きたくなる。


「お願い、こういうの、やめて……。とっさだとあたし……殺しちゃうかも、しれない」

 太刀を納めながら、やっとそれだけ言った。

 泣かないように奥歯をかみ締めて、でもやっぱり、涙がこぼれる。

「あんた、いったい……」

 シーモアの問いに答えようとしたけど、上手く声が出せなくて、答えられない。


 そのとき、感じた。

 思考回路が切り替わる。五感が研ぎ澄まされる。

 ひさびさの、『戦う』感覚。


「あんたさ――」

 言いかけたシーモアを手で制す。

 洞窟の奥から、気配の質が変わったのを感じる。


――逃げ場は?

 ダメだ、海と崖とに囲まれてて、行き場がない。

 唯一の逃げ道は上だけど……あの足場を伝って登るのに、どれだけの時間がかかるか。

 なら、方法はひとつ。

 そのとき洞窟の奥から、くぐもった音が響いた。


「な……」

 中から、“それ”が姿を現す。

「飛竜……!」

 彼女の様子に、今初めて敵の正体を知ったのだと気がつく。

――これが、ふつうの同い年の子なんだ。

 そんな驚きを感じながら、出てきた飛竜を睨んだ。


 竜にしては、かなり小さい。それにたしかこれは、知能もそんなに高くない。でも人間を捕食する、獰猛な種類のはずだった。

 よく見ると、翼が折れてる。だからこの洞窟で、治るまで潜んでるつもりだったんだろう。しばらく食べてないみたいで、気が立ってる感じだった。

 それを知らずに縄張りに入り込んだあたしたちも、迂闊だったとは思うけど――エサにはなりたくない。


 浮き足立ったシーモアに、言う。

「先に、戻って」

「なんだって?」

 彼女から返ってきたのは同意じゃなくて、疑問だった。


「だから……今のうちに、逃げて」

「冗談言うんじゃない、あたしだって戦えるよ!」

「バカ言わないで!」

 思わず言い返す。状況が分からないにもホドがある。



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