Episode:27 真相
◇Rufeir
時間を気にしながら、校舎の裏手、敷地のいちばん奥へと走る。じっさいは間に合ってるのだけど……それでもなんとなく、急ぎたかった。
さっき授業の前、シーモアが初めてあたしに話しかけてきた。時間と場所を指定してきて、「そこで待ってる」と。
理由は分からない。ただ、彼女が何か真剣なことだけは分かった。
だから、早めに行きたい。
着いてみるともう、炎のような髪をした彼女が居た。
「思ってたより早く来たね」
何を言ったらいいのか分からなくて、ただうなずく。
「こっちだ」
シーモアがうながして、塀のほうへ向かった。
「これ……」
「そうさ」
茂みをかき分けた奥に、子どもが1人やっと通れるくらいの穴があった。
そこへ、彼女が入っていく。慌ててあとへ続くと、シーモアは訓練所の中を、さっさと歩き出してた。
どこへ行くのか訊きたかったけど、厳しい表情に圧されて、訊くことができない。
そのまま岩の隙間を通り、崖の足場を降りて、最後に洞窟のあるちいさな海岸へたどり着く。
「ここなら、見回りも来ないからね」
たしかにそうかもしれない、と思った。
入り組んだ地形と、隙間を抜けてきた岩のせいで、この砂浜は完全な死角だ。
――けど、何のために?
それになにより、この気配……。
不思議に思っていると、シーモアのほうから切り出した。
「あんた、なんでこうなったか分かるかい」
首を振る。こうも何も、まったく話が見えない。
「まったく、どこまでいい子ぶるんだい。
――あんた、気取りすぎなんだよ」
「え……?」
考えたけど、意味が分からなかった。
意を決して、訊く。
「……どういう、こと?」
訊いたら、シーモアがよけいに怒った。
「それが気取ってる、っていうんだ!」
「ごめん、言ってる意味……わからない……」
彼女が怒ってしまったのは分かるけど、言われてる意味が分からない。
よほど何かに触ってしまったみたいで、シーモアがすごい剣幕で、吐き捨てるように言う。
「だから、ここはあんたみたいなお嬢さんが来るとこじゃないって言ってんだよ!」
これは少し分かった。
何故そうなったかは分からないけど、何か勘違いされたんだってことは分かる。
だから、答えた。
「あたし、そんなじゃ、ない……」
でもシーモアには、伝わらなかったみたいだ。