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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:03 転機
19/32

Episode:19

 何のことか分からなくて、考え込むあたしの横で、イマドが怒鳴りつけた。

「てめぇ、タダでさえややこしくなってんのに、これ以上引っかき回したら容赦しねぇぞ!」

 すごい剣幕だ。

「きゃー、イマド怒った怒った〜」

 それでもミルはお構いなしで、楽しそうに笑ってる。


「イマド、わっかりやすすぎー。ルーフェにぞっこん?

 ま、イタズラっても、ただの実験だからー。どうせいまより、悪くなんてならないし」

「そりゃたしかに、そうだけどさ……」

 イマドたちが顔を見合わせた。


「つか、何する気だ」

「き・り・く・ず・し」

「切り崩し?」

 何のことか分からない。そもそも、切り崩すようなものなんてまわりに見当たらない。


「――ルーフェ、もしかして、話見えてない?」

「ごめん……」

 物分りの悪さが申しわけなくて謝ると、ミルがイマドたちのほうへ顔を向けた。


「三人もいて、だーれも状況説明してないんだ?」

「いや、だってこいつ、気づいてねぇし」

「ホントのこと分かったら、よけいかわいそうだよ」

 口々に言いわけするのを聞いて、ミルが言い放つ。


「ばっかじゃないの!」


 さっきまでの楽しそうな雰囲気とは一転、厳しい声と視線だ。

「何がどうなってるか分かんなかったら、ルーフェだってやりようないじゃない。

 分かんないのもアレだけど、教えないってもっとヒドいでしょ。共犯みたいなもんだよ!」


 ほとばしるような怒りかただった。

 そしてこんどは、優しい表情であたしのほうへ向き直る。


「ルーフェ、いい? あのね、ルーフェはいじめられてるの。分かる?」

「いじめ……?」

 言われてることがピンと来なかった。

「ふだんいろいろ言われたり、やられたりしてるでしょ? それ、全部そうだよ」

「え、でも、あれは……」


 あれはあたしが違いすぎて、馴染めないせいだ。

 肝心なことはひとつも知らなくて、できることと言えば……。


「あ、泣かした」

「あれ、泣いちゃった」


 下を向いたあたしを、ミルがしゃがみこんで見上げた。

「ルーフェ、だからね、ルーフェは悪くないの。それ分かる?」

「え?」

 驚いて彼女を見返す。

 くるくるっととした水色の瞳が、笑った。



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