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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:03 転機
18/32

Episode:18 転機

◇Rufeir

 状況は、相変わらずだった。

――ムリなの、かな。

 イマドやロア先輩、訓練島のおじさんに、励ましてもらって頑張ってきたけど、自信がないなんてもんじゃない。

 そんなことを考えたら涙がこぼれそうになって、くちびるを噛んだ。さすがに教室で泣きたくはない。


 と、影が差す。

 恥ずかしくて目をこするフリをして、それから顔を上げた。

 オレンジがかったふわふわの髪。薄い水色の瞳。同じクラスの子だ。


「だいじょぶ?」

 屈託のない笑顔。

「話すの初めてだね。あたしね、ミル。ミルドレッド=セルシェ=マクファディ。んーと、ルーフェイアって長いから、ルーフェって呼んじゃっていい?」

 一気にまくしたてる。明るい声だった。

「ねぇねぇこれからお昼でしょ? 今日もイマドたちといっしょ? あたしも入れてね」

 夏の日差しにきらめく、海みたいな子だ。


「さ、早く行こ。好きなのなくなっちゃったらヤだし。

 イマドイマド、行くよー!」

 よく通る声で呼ばれて、イマドたちが振り向いた。

「げ、ミル、なんでてめぇが湧いてるんだ」

「べつにいいじゃん、なんとなくだし」


 やり取りについていけなくて呆然としてたら、ミルに腕を引っ張られて、そのまま廊下へ出て歩く。

 けどしばらく行った場所で、ミルがとつぜん、立ち止まって言った。


「ルーフェ、あのさ、だいじょぶ?」

 聞き返さなくても何のことか分かって、だからあたしは下を向く。

 だいじょうぶと答えたい。でも……そう言えない。

「そっか。そだよね。だいじょぶなワケないよね」


 イマドたちが、追いついてくる。

「何やってんだ?」

 ミルが、イマドたちのほうに、いたずらっぽい瞳を向けた。

「男が三人もくっついてて、なーんもできなすぎー」

「っ……!」

 彼らの顔色が変わる。


「あっは、やっぱ図星? そだよねー、ルーフェかわいいしー」

「てめぇ、何しにきやがった」

 イマドの表情が一気に冷たくなる。

 でも、ミルはまったく動じなかった。


「ほんとはさー、放置してよっかなーって。メンドイし。

 けど、ルーフェなんかすっごいワケありっぽいし、シーモアもちょーっと暴走気味だし」

 言って、一呼吸。彼女がなんとも言えない、底知れない微笑を浮かべる。

「だから、イタズラしよっかなって」

「え?」



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