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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:02 苦悩
17/32

Episode:17

 このあとの惨劇予想しちゃって、一瞬みんなが凍りついたり。

 ミルの言ってること……的外れ、ってワケじゃない。けどそれヌキにしたって、ルーフェイアって子、空気読まないし。

 まぁその点じゃ、ミルはもっと空気読まないんだけど。


「あんた、痛い目でもみたいのかい?」

 ゆら、とシーモアが立ち上がって、あたしたち思わず後ろへ下がる。

「んー、見たくはないけどー。でもシーモア、ホントにいいの? 痛い目、どっち見るかわかんないよ?

 てか、いまやったら退学かもね。あたしはそれでもヘーキだけど」

「………」


 シーモアが動けなくなる。

 この学院、校内の暴力沙汰は全面禁止で、ヘタしたら退学処分。なにしろMeSだから、もし起こったら死者でるかもだし。


 でもこれ、あたしたちにとってはキツすぎ。ここ追い出されたら行くとこないし、なによりシーモア、辞められないワケがあるもの。

 いっぽうでミルは、退学とか平気。彼女ったらケンディクに片親だけどちゃんといる、この学院じゃ超少数派の家族持ちだから。

 きっとそれ分かってて、言ってるんだと思う。


 もちろんシエラでこんなこと言ったら、徹底無視で当たり前。だけどミル、そんなのされても一切気にしない子だし。

 だからいろんな意味で、いちばんやりづらい相手だったり。


「まぁいいや、どうせやめないでしょ。

 けどさ、あたし巻き込まないでね。そゆの楽しくなさげだもん」

 いったん言葉切って、ミルったら不敵な微笑。

「それに万一どっかのMeS上がりとか、少年兵あがりだったら、あたし知〜らない」

 そう言い置いて彼女、ひらひら教室出てった。


「あいつ……!」

 飛び出して追いかけそうなシーモアを、慌てて止める。

「ミルの言うことなんて、気にしちゃダメだよ」

 けど、みんなからの同意はなくて。

 ミルが言ったことが、みんなのあいだにじわっと、広がったみたい。さっきとは違う感じで、顔を見合わせたりしてる。


 シーモアが見回したら、みんなバツが悪そうに視線をそらした。

 気まずい沈黙。

 けどそのときアラームが鳴って、シーモアがポケットから通話石を取り出した。


「シーモア、もしかして倉庫の点検係り?」

「ああ。今日あったの忘れてたよ。行ってくる」

 足早に教室を出てく彼女を、みんなで見送る。


「けどさ……ルーフェイアっていつも黙ってて、変わってるよね」

 しばらくして、誰かが言った。

「言いたいことあるなら、はっきり言えばいいのにね」

「そうだよね、黙ってたら分かんないもの」

「でも、イマドたちといるときは、話してるっぽいよ?」

 飛び交ううわさ話。


「やっぱり、なんかヘンな子だよね」

「それはぜったい言えてる」

「あんまりかかわらないほうが、いいっぽいよね……」

 話の落ち着き場所は、だいたいあたしも同感。あの子ったら、得体が知れなすぎだもの。


「シーモアはちょっと行き過ぎかもだけど、でもあの子だって悪いよね。もっと何か、話したりすればいいんだから」

「だよねぇ」

 みんな、うんうんとうなずく。

「何かするのはアレだとしてもさ、やっぱりあんまり、近づかないほうがいいよ」

 ちょっと後ろめたい目配せをお互いにしながら、そんなとこで話がまとまった。




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