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葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:02 苦悩
13/32

Episode:13

◇Imad

 コトが起こってから、しばらく過ぎた。けど、状況が変わる気配はない。

 鈍感なルーフェイアのヤツも、さすがにいろいろ分かってきて、参りはじめてた。なかでも聞こえよがしにゴチャゴチャ言われんのが、こたえてるっぽい。


――平気だったら、逆に怖えぇけど。


 ただ細かいコト言うと、まだこいつ微妙にカンチガイしたままだ。自分が最前線にいたせいでいろいろズレてて、それが嫌がられてると思ってる。

 まぁたしかに、ある意味で間違っちゃいねぇんだけど……。


 ホントは教えたほうがいいのかもしんねぇけど、俺はそのまんまにしてた。説明しても通じねぇ気がしたし、何より分かったら、よけい落ち込みそうな気がする。

 けどカンチガイとか関係ナシに、こいつそろそろ限界だろう。なんかあるたんびに前のこと思い出して、自分で傷口えぐるかっこうになってる。

 そのせいか前にもまして食わねぇし、身体おかしくなんねぇうちに、マジで手打ったほうがよさそうだった。


「ルーフェイア、おまえホントに大丈夫か?」

「あ、うん。だいじょぶ」

 口じゃそう言ってっけど、ここんとこ顔色もあんま良くない。


 放課後の自習室で、俺とルーフェイアはだらだら、課題片付けてるとこだった。ほとんどの日はコイツさっさと自主訓練に行っちまうけど、週に一回か二回、苦手な数学を俺に教わりに来る。

 けど課題より、やっぱコイツの身体のほうが心配だ。


「診療所行って、診てもらったほうがいいんじゃねぇか?」

「でも、病気じゃないし……」

 すぐ泣くクセに、こーゆーとこは気丈っつーか、頑固っつーか。

 当のルーフェイアのほうは、教科書をめくってる。


「えっと……このへん、なんだけど」

「おまえ、ほんっと数学苦手だな」

 基礎的なとこはしっかりしてっけど、一段上がるとどうもこいつダメだ。


 ただ、いわゆる「できない」のとは違う。どうにも数学は飲み込みが悪くて、分かるまでに時間がかかるだけってタイプだ。

 だからちゃんと教えれば根本的なとこまで分かっけど、授業だけじゃ時間足んなくて、ついていくのがやっとだった。

 戦闘なんかに才能ぜんぶ取られて、こっちに残らなかったんじゃないか、って気がする。


「何がわかんねぇんだ?」

「えぇと……あ、ここ。どうしてこれ……こう、なっちゃうの?」

「簡単だぞ?」

 しばらくそんなやりとりが続く。

 ってもルーフェイアのヤツだって、頭は悪くないわけで。ひと通り終わらせんのに、そんな時間はかかんなかった。



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