表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
葛藤 ルーフェイア・シリーズ04  作者: こっこ
Chapter:01 誤解
10/32

Episode:10

「行くぞ」

「うん」

 俺自身も含めて、いろんなモンに腹立つのを押し隠して、部屋を移る。


「あのね、ここ……」

 移動するなり、ルーフェイアのヤツが訊いてきた。

「あーこれか。勘違いするヤツ多いからな」

「そう、なんだ」


 解法が複雑になってくっと、ルーフェイアは弱い。特に逆転の発想、みたいなヤツが苦手だ。

「あと、この計算……」

「おまえこのへん、根本的なとこ分かってねぇだろ。図にしてみろって」

「え? だってこれ、ただの計算……」


 首をかしげるこいつの目の前で、簡単に描いてやる。

「だからこいつを一辺に見立てて、こうやって面積で考えてみろよ。公式の意味分かっから」

「……あ!」


 まぁこのへん、こうやって教えねぇ教官も、しょうもねぇんだけど。ただ公式並べて覚えろ覚えろ言うだけなら、授業要らねぇし。

 ともかくそうやって、あれこれやって。一段落したとこで、かなりためらったけど、思い切って訊いてみた。


「おまえさ、平気か?」

「平気って……えっと、何が?」

 訊くだけムダだったかもしんない、そう一瞬思う。

 けど、このまま様子見ってのは、そろそろ限界ってヤツだろう。被害が出てねぇってだけで、もう直接手を出す段階に移ってやがるし。


「あー、ほら、あいつら女子の――」

 ルーフェイアがうつむいた。

「最初から……馴染めないと、思ってたから……」

 最後のほうは言葉にならない。


 学校へ行きたい。

 友達がほしい。

 こいつが望んでる、たったそれだけのことが壊れかけてんのに、なんもできねぇ自分に腹が立つ。


 ホント言うとあのバカ女子どもに、こいつがいままでどこで何してどんな思いだったか、ぶちまけてやりたかった。

 でも、ルーフェイアの場合はそれはぜったい、できねぇワケで。万が一そのへんから、シュマーの話にたどり着いたらヤバすぎる。


 かといって、ほかにどうしたらいいかも分かんねぇし。

 ルーフェイアとシーモアがガチでやりあえばそれで終わる気もすっけど、シーモアはともかく、ルーフェイアのヤツはぜったいンなことしねぇだろう。


「――ゴメンな」

「ううん、イマドは、違うから……」

 そう言うルーフェイアの瞳から、涙がこぼれる。

 なのに俺は、どうしようもなく非力だった。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ