表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/41

4話:さ~て、来世の山辺さんは~?【ジャンケンポン~!うふふふふふふ~】

『黄泉ノ国南区役所:転生科』


 そこに、俺こと山辺慶やまべけいの魂はいた。

 いつもの受付、いつものカウンター。

 目の前にはいつもの役所のお姉さん。

 二人とも、「えぇ~……」って顔して向き合っている。


「普通、あそこで殺されます~?思いっきり力を手に入れたと思って調子にのって序盤でやられるモブじゃないですか~」


「役所のお姉さんこそ、俺のモニターなんだろ…?気付けよ…思いっきり自軍の勝利を確信して主人公チームに不意を突かれるダメ軍師じゃねぇか…」


「「喧嘩なら買うぞコラァ!!」」


 互いに互いの胸ぐらを掴んでカウンター越しに睨み合う。

 意外と役所のお姉さんの膨らみが大きめで意識がそれそうになるが、それはそれである。


「はぁ…やめようやめよう、不毛だわ」


「そうですねぇ~…はぁ、テンション下がるわ~」


 どっかと椅子に座り込み、膝をついてむくれる男女。完全にお通夜ムードだが、実際はそうでもない状況だ。

 なんたって、今回の輪廻により有意義な情報を手に入れたのだから。


「魂の定着、か。実際すげぇ力だな」


「ん、そうですねぇ~」


 そう、魂の定着。

 前世で学んだことを魂で記憶し、その記憶を『特典』に変換して己を強化、来世に持ち込むという超能力。

 恐ろしいのはそれだけではない。蟻の時のステータスを見ればわかるが、その『特典』の派生としてスキルまで身に付くのだ。


「正直な所、こんな特性がこの特典にあるなんて我々も想定外です~。持続性、将来性を見ても、世界にまたとない英雄を生む可能性がある状況ですね~」


 英雄!

 エリートとか大金持ちとか、そういった要素をぶっ飛ばして、英雄!

 思わず顔がにやけてしまいそうだ。


「ふっふっふ…役所のお姉さんよ、これは互いにチャンスだと思わないかい?」


「ふっふっふ~、山辺さんもそう思います~?輪廻した者の活躍によっては、私のお給金も変化しますしねぇ~」


 流石はザ・俗物の役所のお姉さん。俺らの心は今一つになっているようだ。

 俺は今後の輪廻をウハウハに。

 お姉さんは俺の活躍でウハウハに。

  

「「ふっふっふっふっふ(~)……」」


 ガッシリ握手をかわす俺たち。

 そうと決まれば話は速い!


「さぁ役所のお姉さん!次の転生先を決めるぞ!」


「いやっははは~!是非是非~!」


 役所のお姉さんがバッサァとリストを広げる。

 そこには、選り取り緑の人間リストから、エルフなどの亜人、魔族など、優良物件がたんまり載っていた。


「さぁさぁ山辺さん~!どれでも好きな者を選ぶといいですよ~!」


「うっははは!これだよこれ!俺の冒険はここから始まるのだぁ!」


 どれにするか?迷いに迷う。

 やはり人間か?いや、この場合は亜人でもいいかもしれない…魂の定着は経験が命だからな。

 経験できることが多ければ、それだけ次の輪廻にも繋がるのだ。


「ん~、やっぱりエルフとか、獣人かなぁ?」


「お目が高いですねぇ~、異世界なら魔法とかも覚えるでしょうし~」


「だろだろ?んー、じゃあ、エルフか、エルフだな!よーし、エルフだ!」


「はいなはいな~!えー、と、エルフのポイントは~」


―――――――――――――――――――――――――

<エルフ:13000ポイント>

―――――――――――――――――――――――――


 おお、結構するな。


「なぁ役所のお姉さん?俺今何ポイントもってんの?」


「あ、そかそか~。えぇとですね~」


―――――――――――――――――――――――――

<俺:30ポイント>

―――――――――――――――――――――――――


「「………………………………」」


 十分後。

 そこには、再びお通夜ムードに突入した俺たち二人がいた。

 

               ◆


 ない。

 ないわぁ。

 30はない、30はないわぁ。

 人間でさえ何の特典もない凡人で500もする。


 エルフは、生まれ変わるだけで魔法の素養や長い寿命が手に入る。高くて当然なのだ。


 だとはいえ、テンション上げすぎて自分のポイントを度外視した物件を見せつけられた俺のテンションの下がりようといったらない。

 役所のお姉さんも、椅子に思いきり体を預けて左右に回っている。


「なんかもう、いいんじゃないです~?お疲れ様でした~」


「職務放棄はいかんぜ、役所のお姉さんよ…気持ちはわからんでもない」


 というか、蟻って270ポイントもすんの?


「いえ、地球産の蟻は5ポイントですよ~。視力付与に265使ったんです~」


「くっそ…実際役にたってたから何もいえねぇ…とりあえず、30ポイントで賄える物件でよろしくお願いします」


「はぁ……いいですよ~、ご紹介いたしますよ~」


 ヤル気なさげにペラペラと書類をめくり、適当にバサッと広げてくる。

 そこには、1ポイントから購入可能な、微生物や虫、下級の魔物や野生の動物などが載っていた。


 もちろん、生き物によっては50とか100ポイントもある。この中でも候補は限られるだろう。


「んー、どうするかねぇ」


「適当でいいですよ~、来世でポイント稼いで再来世にかけましょ~?」


 まぁ、そうだよな。

 せっかく魂の定着があるのだ。後々最高の存在に転生するために、安いものに転生してポイントを稼ぐべきだろう。

 そう、これは未来への投資なのだ!


「そうだよ、そうだよな!よーし、ヤル気出てきたぜぇ!」


「はやく面白いの見せてくださいねぇ~、ハリ~ハリ~」


 おだまりよ!テンション上げなさいよ!

 俺だって無理矢理あげてんだよテンション!


「よーし!まずはコイツだ!異世界の下級モンスター、スライム!」


「あ~はいはい、じゃあ承認承認~」


「やる気を出しなさいよ!」


「以降の不毛なレベリングはダイジェストで済ませていきましょ~」


「やる気を出しなさいよ!?」


 それから、俺の戦いが幕を開けたのだった…………!


ここの話を少し削って、間に挟むように話を増やしてみました~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ