3話:攻略法【大反撃~!】
どどどどうする!?
レベルが1に下がってるなんて、終わってるんじゃないのか!?
ただでさえ低い勝率が、更に下がってるじゃねえか!?
【あ~もう!安心してください山辺さん~!すぐにテンパる癖やめてくださいよ~!】
いやだってお前………
「来たぞ、ヤマベ!」
「うひぃ!?」
ナルゥの掛け声でハッとする。
イヌイの風の槍が、迫っている。
ステッキを中心に風の魔力を展開させた、切り刻む槍だ。
慌てて、その槍を避け――――る前に、ナルゥに蹴り飛ばされた。
ナルゥは……回避できてるな、よかった。
「いかがなさいました!?さぁさぁさぁ、ワタクシは遠慮などいたしませんよ!?」
うっせ!
お前はちょっとは遠慮しろ!!
いや、周囲に傷をつけてないのは遠慮だよね、ごめんな。
【もぅ、もう、も~!山辺さん!いい加減にしなさい~!】
うぉ!?
なんだよ役所のお姉さん!?
【よく考えなさい!貴方、これまで一度でも……】
イヌイの水球が、真っ直ぐに迫ってくる。
なんとかして、避け……
【一度でも、ステータスで戦ってたことありますか~!?】
………そ、そうだ!?
俺、これまでステータスあんまり頼ってなかった!低すぎて!
ほとんどスキル頼りで、ステータスはその延長で延びてたから参考にしてただけなんだ!
そう考えると、この状況も打破可能……か?例えば……
俺は、イヌイの水球に、『魔力操作』でジャミングをかけてみる。
同時に、『魔力吸収』を起動した。
「っ!?」
イヌイの顔と、水球が僅かに歪む。
自分の操っていた魔力が、突然妙な歪みを見せたからだろう。
次の瞬間、パァン!と音を立て、水球が飛び散った。
「ぎゃああ!?」
「くっ!」
俺の間近で破裂したため、水球に内封された風の魔術が切り刻んでくる。
だが、属性を持ち……拡散した魔法なら!
『HP:2/3 MP:212/212』
受けきれる!
【そうです~!更に、これを受ける事で経験となり、スキルも上昇するんです~!】
――――――――――
<スキル>
『魔力操作:Lv7』 『魔力攻撃:Lv4』 『司令塔:Lv5』 『悪食:Lv6』
『消化吸収:Lv3』 『翻訳:Max』 『発声:Max』 『環境適正:Lv2』
『状態異常耐性:Lv1』『防御修正:Lv4』 『属性耐性:Lv3→(4)』 『隠密:Lv2』
『発見:Lv3』 『マッピング:Lv3』『ドロップ運:Lv0』『傲慢:Lv2』
『魔力吸収:Lv1』 『体力吸収:Lv2』 『悪運:Lv5』 『奔走:Lv6』
『不屈:Max』 『無能:Lv4』
――――――――――
いいぞ、いいぞ。
魔法防御は低いかもしれんが、『属性耐性』があれば、イヌイの魔法を受けきれる。
これが上がってくれたのはかなり助かるわ。
更に、『体力吸収』も追加でイヌイをターゲットに起動する。
『HP:3/3 MP:212/212』
吸収のレベルが低いから僅かずつだが、俺のHPなら即座に全回復だな。
よし、突破口が見えた!
「ナルゥ、なんとかイヌイを足止め出来ないか!?」
「弓があれば自信を持って出来ると言えるんだがな」
ぬぅ、そうそう上手くは事も運ばんか……。
だったら。
「仕方ねぇ、お前ら!」
俺は、『司令塔』を使い、周囲に呼びかける。
俺が生まれ直した事で、また周囲に集まりだした、精霊達だ。
「イヌイに取り付け!攻撃すんじゃねぇぞ!」
精霊達は、実にのんびりした動きでイヌイの元へ飛んでいく。
こんな動きでは、イヌイの元に到達するまでに30発は魔法が飛んでくるな。
「んふふふ、また精霊を盾にしての主砲準備でございますか?そうは参りません!」
イヌイは、俺の一発限りである強力な火力を警戒したらしい。
精霊達に周囲を固められるよりも先に地面を蹴り、俺に接近してきた。
けどな、今のHPであんなの撃ったら、暴発して木っ端微塵なんだよ!
俺の狙いは、お前の動きを直線的にする事だ!
「ナルゥ!」
「一々声をかけるな!バレるだろう!」
俺の掛け声と共に、ナルゥがイヌイの懐に潜り込む。
俺を見ていたイヌイは、ほんの少しだけ、反応が遅れた。
その隙きを、ナルゥは見逃さない。
小さなナイフで、わずかな傷をつける。
「っ、ふふ、んふふう!」
楽しそうに笑い、ナルゥをステッキで吹き飛ばそうとするが……
俺が、『傲慢』を発動する。
「お、おや!?」
急に、イヌイの手からステッキがすっぽ抜ける。
その先端は、俺に向けて……
「ぶへぅ!?」
『HP:2/3 MP:212/212』
――――――――――
<スキル>
『魔力操作:Lv7』 『魔力攻撃:Lv4』 『司令塔:Lv5』 『悪食:Lv6』
『消化吸収:Lv3』 『翻訳:Max』 『発声:Max』 『環境適正:Lv2』
『状態異常耐性:Lv1』『防御修正:Lv4→(5)』 『属性耐性:Lv4』 『隠密:Lv2』
『発見:Lv3』 『マッピング:Lv3』『ドロップ運:Lv0』『傲慢:Lv2』
『魔力吸収:Lv1→(2)』 『体力吸収:Lv2』 『悪運:Lv5』 『奔走:Lv6』
『不屈:Max』 『無能:Lv4』
――――――――――
ただの打撃では、俺を消すにはいたらない。
さらに防御修正が増えたおかげで、俺の防御力は50になった。さっき位の威力なら、完封できるかも知れない。
ついでに『魔力吸収』も上がってるな。吸い取ったのは……MPか。これでイヌイも疲れてくれればいいんだが……。
「っ、山辺様、なんとも奇々怪々な能力をお持ちのようで…!」
流石に、3発も『傲慢』受ければ気づいてるか…!
「な、なんの事だ…?げふっ」
減ったHPを、『体力吸収』で即座に補填する。
少しずつ、本当に少しずつ、イヌイの体力を削っていく。
ナルゥが俺の隣まで下がり、ナイフを構える。
「貴方様のお力……ズバリ、ワタクシの能力を数値化し、ランダムで奪うというものにございますね?」
「……そうなのか?」
「さ、さ、さぁ……」
「その吸収力も非常に強力!ワタクシの魔力を大幅に奪うなど!普通はできません!な~れ~ど~、その力には制約がございましょう!?ズバリ、攻撃すらも引き寄せてしまう事!!」
ば~れ~た~!!
「あぁ、あぁ、恐ろしい!恐ろしゅうございます!もし、次のその力がワタクシの体力を削ったら?もし、その力を警戒し過ぎて身動きが取れなくなれば!?もし、もし、もし、ワタクシの会心の一撃を、ヤマベ様に受け止められれば!?あぁ、あぁ!なんと恐ろしい!!」
現状を把握していて、恐ろしいと感じつつ、まだコイツは笑うのか。
本当に、本当にわかんねぇ!!
「だったらわかるだろう!?お前詰んでんだよ!お前にとっての本気の本気、この辺まるまる吹っ飛ばすくらいしねぇとどうにもなんねぇんじゃねぇのか!?」
「否!否!否!この森には命がございます!貴方達の里には罪もない子ども達がおります!ヤマベ様達が作り上げた文化の結晶、畑がございます!それをワタクシの身勝手で吹き飛ばすなど、どうして出来ましょう!?ワタクシが屠るのは、貴方達ただお2人!!」
ぶれねぇ、曲げねぇ、歪まねぇ。
バリッバリに狂ってるくせして、どこまでも善人だ。
まぁ、すまんな、イヌイ。俺、お前のそういう性格も散々利用したわ。
「だったら、このままオネンネだ!何度でも何度でも、お前が力尽きるまでその体力吸い続けるぞ!」
「結構!元より承知の上!なればこそ、ワタクシも全力で貴方様を攻略するまで!!」
袖からステッキを取り出し、イヌイが叫ぶ。
その全身に、魔力が纏わり付く。
既に2回『傲慢』で吸い取ったが、まだ余裕そうだな。
「ナルゥ、もうちょっとだ、気張るぞ!!」
「言われずとも、ここで終わる気はない!」




