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32 白スクと縦セタ

「とりあえず、サラスタンについたら封印術師を尋ねるってことでいいね」


 なんとか話がまとまった。

 僕は本当のことはまだぐだぐだ引き延ばす必要があるので、アロの話に乗る形で微妙にあいまいな返事を繰り返していた。


「約束はできないけど……話せる時が来たら、ちゃんと説明したいと思います」


 一応、その意思だけは伝えておいた。


「フムート家でよければ住んでる場所は分かる。首都ドバイアル」


 目的地も定まりました。


「計画はこんなところだね。今日はここでゆっくりしよう。このホテルは結構いいホテルみたいでバルコニーに大きめの露天風呂もあるしね。砂漠を眺めつつ入るお風呂も新鮮でいいと思うよ」


「じゃあみんなで入るにゃ! もちろん印世もにゃ! ミリャーはどうするにゃ?」


 こういう時は普通僕以外が一緒に入って僕がどうするかをミーリャさんに聞く場面だと思うのだけど、アロの中では瑛さん、アロ、僕が一緒に入るのは確定のようだ。

 まあ三人は前にも一緒に入っているから追加でミーリャさんがどうするか聞くのも変ではないのかも知れないけど。


 でもこれじゃミーリャさんがかわいそうだな。

 寂しく一人で入るか全員(男含む)と一緒に入るかの2択しかないとか。

 ミーリャさんどうするのかな?


「もちろん私も入る。……付け加えると、印世君とは後日2人だけで入ることも考慮したい」


 ですよねー。

 トキナさんとガチで戦えそうなミーリャさんがこれくらいで引くわけがなかった。


「あっ!」


 ここでアロが急に声をあげる。

 何かを思いついたようだが、アロが何か思い付いてもろくなことになる気がしない。


「そういえば、ミリャーは印世の荷物チェックはしたのにゃ? もしかしたら森消失に使われた魔道具が隠されてるかも知れないにゃ!」


 アロは何を言っているのか。

 確かに神器機関は森消失の原因が魔道具かどうかに興味があるのだから、僕の私物にそういうのがないのを示すのは効果があるかも知れないけど。


「……確かに。森消失後に隠した可能性は否定できなくても普段持ち歩いていない証明にはなる」


 結局、手荷物を見せる程度で僕が白になることはない。

 だがそもそも魔道具なんてないのだから荷物を見られて困ることも無い。


「そうですね。実際に魔道具は持ってないからこれでミーリャさんの仕事が終わりってことにはならないと思うけど、荷物見るくらいはいいですよ」


 ここで渋ってしまうと変に怪しまれてしまいますしね。

 問題ない所では協力の姿勢を示すことが肝心です。

 でもなぜアロはこのタイミングでこんなことを言うのか。

 そもそもアロはサラスタンに出発する前に僕の荷物を自分で見ていると言うのに。

 しかもそのせいで僕がスク水を持っている変態と――


 ――それかっ!


 そう、アロの狙いはこれだったのだ。

 初めから魔道具が存在しないことなどはアロも知っている。

 アロがミーリャさんに見せたかったのは最初から魔道具などではなかったのだ。

 アロに謀られた。


 振り向くと、アロはウホロードのような下卑げひた笑みを浮かべていた。


「……スク水?」


 いやぁーん。

 ミーリャさんにまで僕のスク水を見られてしまった。

 アロちゃんひどいよ。なんでこんなことするの!


「プールじゃないけど水に入るから印世はスク水着るのにゃ!」


 最終目的はそれか。

 アロは僕にスク水を着せることをあきらめてはいなかったようだ。


「でもアロちゃん。お風呂でスク水着るのは変じゃないかな?」


 今日会ったばかりのミーリャさんにまでスク水見せるとか変態すぎなので一応抵抗しておきました。

 だが、これが墓穴になるとは思ってなかった。


「スク水でお風呂……あ、このスク水石鹸の香りがする」


 ぐはっ。


 そう、このスク水はただのスク水ではない。

 昨日遺跡で身につけて、トキナさんと洗いっこをした使用済みのスク水なのだ。

 その後もちろん綺麗にはしたが僕は遺跡に洗剤は持って行ってなかった。

 これは僕の不手際だ。

 他の服も結局ボディーソープとかで洗っている。


「密林の中で一体、印世は何をやっていたというのにゃ……」


 アロが信じられないものを見るような目で僕を見てくる。


「……つまり印世君はすでにスク水を着てお風呂に入っていたと」


「密林の中に風呂はないと思うが、でも湖くらいはあるか。でもなんでわざわざ密林の中で」


「そんなに印世は人に見られたくなかったのにゃ? でもって一晩中密林の中で一人コスプレ大会をしていたのにゃ? 印世は想像を絶する変態さんだったのにゃぁー!」


 危険な未開領域の中に入って湖の中でスク水を着て1人でお風呂プレイを楽しむ変態さんの称号を獲得しました!


『妾ですら驚愕するレベルの変態である』


 トキナさんですら引くようなレベルの変態に認定された。

 ミーリャさんがあの何を考えているのか分からない目で僕を見つめてくる。

 ミーリャさんの心は読めないけど、僕を変態と思ったのは確実だろう。


 だが、ミーリャさんはそんな僕に手を差し伸べてきた。

 よく分からないまま右手で握手を交わす。

 すると、ミーリャさんは次に彼女の荷物から一着の服をとりだした。


「……スク水なら私も持ってる」


 なんと……ミーリャさんもスク水所持者であった。


 しかも白スクだ! 純白のスクール水着である。


 そして最高なことに、胸の部分にはしっかりとミーリャさんの名前がひらがなで書いてあり、その上には6年4組とまで書いてあった。


 僕は握った手に思わず力を込めてしまう。


「ミーリャさん……最高です」


「……そう言ってくれると嬉しい。印世君も素敵」


 僕とミーリャさんは互いに固い握手を交わすのであった。


『妾に匹敵する手練であるだけでなく、印世と同等のセンスまで持ち合わせているじゃと……。くっ、もはや妾の完敗じゃ。ミーリャは変態すぎる』


 ミーリャさんは1日にしてトキナさんすら超えて行きました。


「変態が2人に増えたのにゃー!」


 アロにもミーリャさんの変態性はしっかり伝わったようだ。

 変態も2人でなれば怖くない!


「……それで私と印世君はスク水を着るとして、アロと瑛はどうする?」


 ミーリャさんは全く動じることすらなかった。

 というかミーリャさんの変態性に驚愕する内に僕のスク水着用ちゃくようが決定している?


『人生あきらめが肝心じゃ』


 ここまで追い詰められては仕方がないか。

 それにスク水だって2人で着れば怖くない!


「この流れは私とアロも何か着てお風呂に入る流れなのかな?」


 いつの間にか流れが変な方へと向かっていた。

 瑛さんがちょっと引いている気がする。


「そう。……ここは露天風呂。この部屋は高い所にあるとは言え外から見られる危険がある。服は着た方が安全」


 なるほど、確かに理屈が通っているような気もする。

 まあ僕個人としては裸よりスク水姿を見られる方がよっぽど恥ずかしいけどね!


「じゃあアロはこの格好で入るのにゃ!」


 アロは面倒くさがりなのか。

 だがそのアロの格好は体操着である。

 ホテルに入った時にジャージは脱いでいるがブルマは健在だ!

 ブルマ姿でお風呂に入る。

 これも大変素晴らしい。


「じゃあ私もこのまま入ろうかな……。セーターは洗濯機で洗えないし」


 4人中2人が変態だと瑛さんも大変そうだ。

 その瑛さんの服装はセーターである。

 別にコスプレ大会ではないのだが、ここで瑛さんがナース服でも着てくれると僕はすごく喜んでしまうかも知れない。


「師匠はホントダメダメにゃ。もう面倒くさがりとか通り越してズボラにゃ。アロはがっかりにゃ」


 瑛さんがアロにダメ出しされた。

 やはりアロもこの流れを分かっているようだ。

 変態は3人に増えていたのかも知れない。

 が、ミーリャさんの反応は違っていた。


「……瑛はセーターでいい。むしろセーターがいい」


 ミーリャさんはセーター押しのようだ。

 瑛さんの素敵な所がより素敵に見える縦セタは確かに瑛さんに似合っている。

 でも普段から瑛さんはセーターを着ていることが多い。

 確かにいいのだがたまにはナース服姿も見たいと思うのはごく自然なことだろう。

 と思ったのだがミーリャさんは視線で何かを訴えかけてくる。


「これはコスプレ大会じゃない。これからお風呂に入るということをちゃんと想像した上で、もう一度瑛を見て」


 ミーリャさんにさとされ再び瑛さんに目を向ける。

 確かに、ナース服が特別お風呂と相性がいいとは思わない。

 スク水や体操着はまあ合っていると思う。

 問題はセーターだが。


 瑛さんがセーターを着たままお風呂に入る。

 セーターが濡れ、そして石鹸の泡に包まれる。

 セーターはタオルみたいだから良く泡立つことだろう。


 ――なるほど。そういうことか。


 これはすごいことになるかも知れない。

 むしろ瑛さんだけでなく僕もセーターを着るべきかと思ってしまうほどだ。


「……印世君のスク水は確定だけど」


 ですよねー。


 だが、肌とは違う感触を味わうという点ではスク水よりもセーターの方がやはりすごいかも知れない。

 瑛さんのあの全身が全て泡々タオルと化すことだろう。

 何ということだ。

 このチャンスは決して逃してはならない。


「……じゃあ、瑛がセーターでお風呂に入るのに賛成の人は挙手」


「はいっ! 僕は大賛成です!」


 ミーリャさんの声に僕は素早く反応する。


『こういう時の主の反応はいつもながら素晴らしいの』


 もちろんです!

 僕はエッチなチャンスは逃しません。

 一瞬の隙も見逃すつもりはありません。


『主のそういう所、妾は好きじゃぞ』


 トキナさんにも褒めてもらえた。


 ともかく、これでお風呂に入る服装は決まった。


「うん、じゃあ私はセーターで……」


 僕とミーリャさんのあまりの気迫に押されてか、瑛さんがたじろいでいる気もします。

 だけどもう逃しませんよ!

 僕だって縦セタ姿の瑛さんと一緒にお風呂に入れるなら喜んでスク水つけますし!


『いっそすがすがしい変態である』



 さあ、冒険の始まりだ!



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